バンクーバーのダウンタウンから車で約1時間の所にあるフォートラングレー・ナショナルヒストリックサイトは、BC州の歴史を分かりやすく学ぶことが出来る国定史跡です
メトロバンクーバーで育つ子供たちの多くが学校の遠足などで1度は訪れるこの施設、BC州の歴史を学ぶのに最適ですが、ふらっと立ち寄り観光にもとってもおススメなのです
そもそも「カナダ」という国は「州」の独立性が強く、それぞれの州が段階的にカナダという国に加入していきました。ここBC州は大陸の東海岸側から始まったヨーロッパ入植民の西進と共に1850年代にイギリスの植民地となり、それから約20年後に「カナダ自治領」に統合されます。
ここフォートラングレーはイギリスからの入植民が先住民族と交易をおこなう為の貿易拠点としてその歴史をスタートし、そこからどんどん拡大していきました。貿易により得た富と人々を守る為に築かれたその名の通り「フォート(砦)」の町だったのですね
エントランスには先住民族やイギリスのジェントルマンなど、この地の発展に携わった人々の顔が描かれています。
入口の脇にはコロンブスが発見したとされる大西洋航路の地図が掲げられています。
15世紀に浸透した「地球球体説」を信じてヨーロッパを出た船乗り達は、西に進めばやがてアジアに至ると信じていましたから、最初に北米大陸にたどり着いた時にもそこは「インド又はインド周辺のアジア諸島」だと思ったそうです。そこからアメリカの先住民族を「インディアン」と呼ぶようになったエピソードはあまりにも有名ですね。
(ちなみにカナダでは先住民族に対して「インディアン」の呼称を使う事は少なく、「ファースト・ネイションズ」と言うのが一般的です。)
エントランスをくぐり受付で入場料金を支払います。
2019年6月現在、大人CAD$7.80、17歳以下の子どもは無料で入場する事が出来ます
施設では他にもさまざまなスペシャルプランを用意しており、当時の貿易商疑似体験やハイ・ティー付きでお誕生日会を開けるプランなどもあります
この日は当時の衣服を身に着けた施設ガイドに見どころを案内して頂きました。
フォートの中に入ると、州総督の居宅や毛皮製品の貯蔵庫など貴重な建築がほぼ当時そのままの形で並んでいるのが見えます。
こちら貿易用の毛皮、綿製品を保管する保管倉庫は州内でもっとも古い木造建築物で、1840年代に建てられました。
こちらの倉庫、釘が一切使用されていない古い工法で建てられています。
当時カナダ国内で鉄釘はまだ製造されておらず、本国イギリスから取り寄せる必要があったのですが、カナダの西海岸からイギリスまではなんと片道6ヵ月(!)もかかる船の旅。
注文書が本国に届き、実際に釘がフォートラングレーに届くのはおよそ1年後ですから、そんなの待っていられませんよね
先住民とイギリス人の貿易品目の中でも特に高価だったのかこのような毛織物と
様々な動物の毛皮でした
施設ガイドが「この中でどれが一番高かったと思う?」とクイズを出し、それぞれ手触りを確認しながら答えるのですがこれが中々難しいのです
正解はぜひ現地で見つけてみてください
樽作りも当時の社会には欠かせないスキルでした。ベリーやジャガイモなどを貯蔵・搬出する為に隙間なく正確に作られた樽は普段の生活から貿易に至るまであらゆる場面で重宝されたのです。
当時、樽職人といえば誰よりも尊敬を集め、また稼ぎも良い人気の仕事だったとか
当時の樽づくり製法を目の前で見る事ができます
奥には樽づくりの疑似体験コーナーも
この小さな樽の組み立て、単純なのにすごく難しかったです
ガイドはチャッチャと20秒くらいで作ってみせるのですが、私は2人がかりで3分くらいかかりました
園内にあるBig Houseと呼ばれる当時の総督居宅内には、BC州成立の宣言書がサインされた部屋が忠実に再現されています。この部屋でBC州が生まれたんですね
大人から子供まで学べる&楽しめるFort Langley National Historic Site、ぜひ夏の"Must Go"リストに加えてみてくださいね
Ellie
Fort Langley National Historic Site of Canada
Address: 23433 Mavis Ave, Langley City, BC V1M 2R5