突然ですが私はグランドサークルが好きです。
好きだからグランドサークル専門のガイドをしていますし
その好きの度合いはというと恐らく大抵の方がちょっと引いてしまうくらい・・・
例えば日々仕事でグランドキャニオンに行き倒しているくせに
休みの日にも一人でグランドキャニオンに行ってしまうくらい好き・・・
という様な具合です。
(だいぶ気持ち悪いですね。)
ただそんな自分も人間ですから時にはへこたれることもありますし
諸々ぜーんぶ嫌になってしまうこともあります。
これでもか!と照りつけてくる太陽が憎いときもあれば、
なんで私こんな砂漠の中で仕事してるんだろ・・・と
後ろ向きになることもあるのです。
こうなってしまうともう仕事のモチベーションだって下がりまくりです。
仕方ありません。
何度も言いますが人間ですから。
さてみなさんはどうしようもなく仕事へのモチベーションが下がってしまった時にどうしていらっしゃいますか?
飲む、寝る、食べる、叫ぶ・・・人によってその対処法は様々だと思いますが、
わたしの場合は「小さな発見で大喜び!」がそれです。
・・・地味ですね。
極めて地味ですが、これがなかなか効果がある。
特にツアーガイドという仕事柄下がったモチベーションを一瞬にしてマックスまで持って行く必要がありますから、そんなシチュエーションでは尚更素晴らしい効果を発揮するのがこの「小さな発見で大喜び」。
なんてったって大喜びな訳ですから、
自ずとテンションも上がります。
そんな小さな発見の中で気に入っているものの一つが
「鳥のたまご」です。
ますます地味ですが今回のブログの題材は
この鳥のたまごで行きたいと思います。
上の写真はチャペルオブザホーリークロスというセドナの名所の一つです。
こちらのチャペルは建物も然ることながらここから一望出来るセドナの裏側の景色が素晴らしく、またここそのものが赤土の岩々に囲まれたボルテックスポイントであるということも相俟ってセドナの中でも最もセドナらしい場所の一つと言われています。
さてここの庭にはたくさんのサボテンが植えてあるのですが、その中でもひときわ存在感を放っているのが、このチョーヤサボテン。
形状がユニークなサボテンです。
黄色い実のようなものは花が落ちたあとに残るガクの部分にあたり、ここがまたこのまま大きくなってサボテンの形に成長していきます。
冬の終わりごろ、セドナの大地に春の訪れを予感させる太陽の光が燦燦と降りそそぎ始める季節にはビビッドなピンク色の美しい花を咲かせます。
外から見るとなんのへんてつも無いこのチョーやサボテンなのですが、この中にですね、なんと鳥が毎年卵を産むのです!
このサボテンの中にですよ
蛇から卵を守る為の工夫らしいのですがこのアイデアが実に秀逸で感心させられますし、また一生懸命にたまごを温める鳥達の姿がとても愛らしいのです。
発見のきっかけは数年前。
まだ雪の気配も消えていない冬の終わりのチャペルの庭で、しきりにサボテンの中にダイブしていく鳥たちを見つけたことがきっかけでした。
一体何をしているのだろうとおそるおそるサボテンの中に頭をつっこんでみたところ、巣作りをしているんですね。
・・・こんなところに?と初めはイマイチ解せなかったのですが、蛇から自分たちの卵を守るためと聞いてなるほどと腑に落ちる思いでした。
弱い生き物は工夫をするんですね。
小さな発見でしたが、その秀逸さ含めわたしにとってこの発見は大きな喜びであり、それからこの巣を見守るのが毎春の楽しみになっています。
今年も卵が産まれ、そして無事ふ化をし、可愛い可愛い小鳥達のピーチクパーチク鳴く声がチャペルに響く様になりました。
完全なる保護色!これはすごい。
パッと見ただけでは雛たちがどこにいるのかよくわかりません。
もう少し顔を近づけてみると雛たちの姿がはっきりと見えるようになります。
大きな大きなグランドサークルですが、この裏にはたくさんの小さな発見があります。
その発見が驚きや喜びを与えてくれて、旅をより鮮やかに印象づけてくれるスパイスになったりします。
みなさんもグランドサークルを旅する機会がありましたら、時折目線を全く違う方向に移してみてください。壮大な渓谷や広い広い空のたもとに思いがけない発見とたくさんの喜びが待っています。
大地の息吹に育まれる動植物の姿、
ふとしたいい形の岩、
ネイティブアメリカンたちのめずらしい習慣。
雲の成長の速さ、
降っているのに地上に辿り着く前に上空で蒸発してしまう雨、
風が砂に描いて行く風紋の美しさ・・・・
そのひとつひとつが全てグランドサークルです。
・・・と、なんだか最後は壮大な感じに締めくくっておりますが、
グランドサークルを生業にし日々赤土の大地を走り回っている我々も結局のところこんな小さな発見に喜びを見出しているのだよ、という人間臭いお話でした。笑
グランドサークル担当ガイド 林
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投稿: たろ -2013年6月30日 (日) 12時31分
■無題
昨年、御社のツアーでグランドサークルを周りすっかり虜になりました。ほんの1部でしたが、初め味わって感覚でした。次は、違う発見ができるように、また行きたいです! -
投稿: his-lasvegas -2013年7月 1日 (月) 19時29分
■Re:無題
>たろさんグランドサークルは奥が深いですよ~!十数回、数百回と訪れているラスベガス支店スタッフでも、行く度に新たな感動や発見があるものです。季節や時間帯、天気や雲の状態によって、自然の世界はガラリと姿を変えるので、ある種、中毒のように行き続けてしまうんです。たろ様も、是非是非、またお越しくださいませ! -
投稿: ポポッチ -2013年7月 9日 (火) 02時51分
■素晴らしいですね!
ブログを拝見させて頂きました!セドナの写真、、とても綺麗ですね。サボテンとヒナの写真はよくとれていますね。 実は今年のGWに御社でチケットを購入し、個人旅行でセドナ・グランドキャニオンとまわってきました。本当にアメリカは素晴らしいところですね!!!大好きになりました!ロスとラスベガスにも行きました。が、グランドサークルをもっと見たい!と思い、来年のGWもアメリカ旅行を計画しています。今度は足を伸ばして、アーチーズやモニュメントバレーにも行きたいです!仕事、、大変だと思いますが、あんなに雄大なアメリカのグランドサークルで仕事をするなんて!!!日本に住んでいる私には夢のまた夢です。。がんばって下さぃ~~!! -
投稿: his-lasvegas -2013年7月 9日 (火) 16時44分
■Re:素晴らしいですね!
>ポポッチさんコメントありがとうございます。自然というのは、季節の変化、時間帯の変化はもちろん、同じような気候でも風の感じや太陽の強さなどで、びっくりするほど、その姿を変えるんですよね。何百回も訪れたグランドキャニオンでも、その都度新しい感動があるんですよ。ポポッチさんも、是非、次回の再訪で満喫してくださいね。