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突然ですがみなさんはこの光景、
どこかで目にしたことはありませんか？

ここはモニュメントバレーの中でも最も有名なポイントのひとつ、
John Ford Pointです。

西部劇の巨匠ジョンフォード監督が作品の中で
好んで使った構図として有名で、
かつてはタバコのマルボロのCMなんかにも起用された光景です。

モニュメントバレーを訪れるツアーでは
必ず立ち寄るポイントですから、
グランドサークルをご旅行されたご家族やご友人の写真の中に
この風景を見つけたことのある方も多いかもしれません。

さて先ほどの写真。
実は風景だけではこの構図は完成しません。

「彼ら」の存在がこの構図をより西部劇の世界観へと誘ってくれるのです。

みなさんには「彼ら」が見えますか？
ここですよ、ここ。

映画やCMでは必ずこの位置に馬に乗った俳優さんが立ちます。

そうすることでモニュメントバレーの壮大さと荒涼さ
そして赤土の持つ色感が一層際立ち、見る者を魅了するのです。

時にはガンマンやカウボーイなど
男性だけが時折醸し出すことのできる
一種独特な孤高の雰囲気なども感じることのできる
素晴らしい演出だと思います。

今回のブログはこの「彼ら」が主役です。

正確には「彼」

このお馬さんが主役です。

この馬の名前は「ピストル」。


背中にナバホインディアンの青年を乗せて
お客様がやって来る度にこうやって崖の先端に立ち、
かつての名シーンを再現してくれるモニュメントバレーの影の主役です。


そもそもこんな素敵な写真が撮れるのも
彼らが日々崖の先端に立ち続けてくれているおかげですし
ナバホインディアン達の粋な計らいに感心させられます。

時折この様に子供を乗せて遊ばせている光景を目にすることもあります。

この青年が小さい頃もこうやって背中に乗って遊んだのでしょうか。

青年によればピストルの年齢は30歳なんだそうです。

人間の年齢で言えば90歳を少し超えたところにあたります。
体力的にもキツいはずなのですが、
ピストルは日々この崖に立ち、そしてその表情はとても穏やかです。

こちらの写真はピストルの背中に乗せてもらって
大喜びでかけて行く子供を笑顔で見守る青年と、
青年の背中にただついていくピストルです。

ゆっくりと流れるモニュメントバレーの時間のなかで
ずっとこの子達の成長を見守っているピストル。
ピストルはいつもここに居ます。

ある日。
いつもの様に自分がこの場所を訪れた時に
「ピストルはもう居ないよ」という日が来ることを私は知っています。

そのことがよぎる度に胸がぎゅっとするような思いがします。

けれどずっとこの地でナバホの人達と共に生き、
またここを訪れてくれた何万人という人達を喜ばせ続けて来たピストルはきっと最後のその一瞬までここに立ち続けるのだろうなとも思っています。

まつげが長くていつも眠そうな顔のピストル。
歩くのがとっても遅いピストル。
灼熱の日も極寒の日も、ここでみんなを待ち続けるピストル。