旅をする上での大切な要素のひとつにお天気があります。

雨も雪も雷もみな自然の為すことですから私たち人間に太刀打ちはできないものの、できれば旅行中だけはいいお天気であって欲しいと誰もが願ってしまうものです。

では「よいお天気」とは一体どういうお天気のことを言うのでしょう。

私たちの文化が育まれてきた日本列島は雨や雪の降りやすい水の豊富な環境です。
一度雨が降り始めればしとしとと降り続くことが多いですし、梅雨の季節には夏の訪れが待ち遠しくなるほど何日も降り続く雨と湿気に辟易してしまうこともしばしば。

そんなバックグラウンドがありますから基本的に私たちの頭の中には「雨=悪いお天気」というイメージがこびりついているので、グランドサークルをご旅行されるお客様からも開口一番聞かれる言葉は「お天気どうですか!?」だったり致します。


H.I.S. ラスベガス支店便り

皆様の期待されるお天気って、きっとこういうお天気ですよね。up

この写真のモニュメントバレーは文字通りの良いお天気ですね。
雲ひとつありません。

こんな日の空はとても青くなりますし、赤土とのコントラストもあって角度によっては文字通り紺碧に見えます。

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グランドサークルを旅される皆さんの大半がこの様なお天気を期待されていらっしゃいますし、雨の予報なんかが出ていようものならがっくりと肩を落とされる方も少なくありません。

ただ。

ここグランドサークルにおいては「雨の予報=お天気が悪い」とがっかりしてしまうのはちょっと早計です。

砂漠性の気候を持つアメリカの南西部において雨はしとしとと降り続くものではありません。
小さな雲がみるみる間にぐんぐん成長し、大きな雲となってスコールの様な雨を降らせる。

雨が降り続く時間はそう長いものではありませんし、雨の前後に出る雲はグランドサークルをさまざまな表情に変えていきます。

つまり!

雨の予報というのは時として良い写真を撮らせてくれる、唯一無二の瞬間をもたらしてくれる天の恵みとなるのです。


雨の予報が出ているとき、まずは空に薄雲が出始めます。

この薄い雲が空にかかると太陽の光を程よく遮断してくれるので、我々の眼に大地の色や渓谷の地層の重なりなどがはっきりとうつるようになってきます。
太陽の光があたり過ぎるとどうしても白浮きしてしまいがちなグランドキャニオンの渓谷も、このような鮮やかな色を見せてくれます。

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薄雲がもう少し発達するとまわりの水蒸気を集めて小さな雲を形成していきます。
このときはまだ雲の位置が空の高いところにあるので、地表との距離によってより広く、開放的な景色を楽しむことができます。


こちらはセドナのエアポートメサの展望台からの景観です。

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さらに雲が成長すると・・・


ここから先はその日の風の流れや湿度によって雲の成長のし方には千差出ます。
大きさが増すとき、厚みが増すとき、一部だけ膨らんでいくときなど成長の仕方はさまざまです。


こちらは引き続きセドナのエアポートメサの展望台からの景観です。
サンダーマウンテンと同じ形で成長した雲がユニークです。

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さて。

どんなに日中の景色が綺麗でも、朝日や夕日の含まれるツアーにお申し込みの方にとって雲は不安要素でしかないと思います。
確かに朝日夕日の時間帯において渓谷の上にかかる雲は懸念材料ではあります。
雲が出ていると沈む寸前の太陽などはどうしても遮断されてしまいますし、雨が降っている最中に朝日夕日の時間帯があたってしまうと残念ながら太陽を拝むことが出来なくなってしまうからです。


こればっかりは神のみぞ知るの世界になってきますので、とにかく祈るしかないのですが、祈りが通じたときに見える景色は圧巻です。

こちらは雨の上がった直後のグランドキャニオンです。
雨上がりのヤバパイポイント、この日はこんな夕刻になりました。
雲の隙間から漏れ光る太陽は神々しくさえありました。

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こちらもグランドキャ二オン。
雨が降ったり止んだりの1日の終わりに夕刻のリムトレイルを歩いたときの1枚です。
雲が染まり、やさしい色をしています。

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もう1枚グランドキャ二オンから。
こちらは朝焼けのマザーポイントからの景色です。
茜色とはまさしくこれかな・・・・というくらい美しく染め上げられた雲に渓谷のシルエットが映えてとてもいい時間でした。

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そして。

雨が止んだ直後のグランドキャ二オンには虹がかかることがあるのです!


湿度の高い日本やハワイなどと違って極度に乾燥しているアメリカの南西部はなかなか虹を見ることがないのですが、そんな中でグランドキャ二オンにかかった虹はまさに奇跡!

こんな瞬間に立ち会えるかもしれないと思うと雨の予報もわくわくしたものに変わっていきます。

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さて、雲のかかったグランドサークル特集はいかがでしたでしょうか。

グランドサークルにおいて、雨の予報や雪の予報は旅行前のうきうきした気持ちに水を差すものではないのです。
時として景色に大きなスパイスとして存在感を増してくれる雲に会えるかもしれない、そんな期待感を膨らませてくれるそんな予報なのです。



それでは最後に雨や雪の前後に出会った景色の写真をもう少しお楽しみ頂こうと思います。


グランドサークルってやっぱり最高!です。

州をまたいで走る道路には州境の度に各州の看板が立ててあります。
工夫のある素敵な看板をかかげている州からなんの変哲もないつまらない看板の州までさまざまです。
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上の写真はアリゾナの州旗からデザインされた看板で、
The Grand Canyon State Welcomes You. 
(直訳すると・・・グランドキャニオンの州が、貴方を歓迎します)
とあります。

粋ですね。



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セドナのチャペルオブザホーリークロスの中から見た空と雲と赤土の岩々です。
雨が降った直後で裾野の緑も生き生きしていてより綺麗です。



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因みにこちらが同じ日のチャペルの外観です。
1枚前の写真はこの建物の中から撮ったものです。



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もう1枚セドナから。
チャペルオブザホーリークロスの庭から見たキャセドラルロックと裾野の風景です。
雲がかかるとこんなにも瑞々しい印象に変わる・・・セドナの不思議さとあいまって美しい1枚になりました。



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こちらは*ローワーアンテロープキャ二オンから上がって来たら、こんな雲が待っていてくれた・・・そんな瞬間の1枚です。

こんな日のグランドサークルは最高に気持ちがいいのです。
ほんの少し湿気を含んだ風がまた気持ちよくて、ものすごい開放感に空が飛べそうな気分になります。


最後に。
こちらは本当に飛べそうな気分になってしまった・・・そんな写真です。

雨上がりのホースシューベンドで撮影しました。
この青年の姿があまりに気持ちよさそうだったので、このあと自分でも同じ様に崖の上で両手を広げてみました。

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流れる雲、きらきら輝く眼下のコロラド川の水面、雨を喜ぶ砂漠の植物たち、太陽を喜ぶ赤土の大地、吹き抜けていく心地よい風。
ここに来れて本当によかったと思える、そんな瞬間でした。

旅の日が快晴の予報でも雨の予報でも、ここがグランドサークルである限りたくさんの感動が待っています。

行きたい!と思ったら、そのときが行き時。
さあグランドサークルを旅しよう!


グランドサークル担当ガイド 林


*アンテロープキャ二オンは雨や雪などの影響を大変受けやすい渓谷です。詳しくはツアー規定をよくお読み頂き、ご質問などはHISまで。



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    • 投稿: 佐和子 -2013年8月12日 (月) 20時56分

      ■自然が織り成す芸術
      林様、何時も素敵なブログをUPして頂き、感謝致しております。アリゾナに参ります度に、空と雲のグラデーションに感動致します。ロサンゼルス在住の私共が何時も思います事は、「カリフォルニアの青い空」は儘無いと言う事です。過酷な砂漠に咲く花を愛でる度に、そこにある小さな命の営みを発見する度に、その奥にある天からの恵(雨や太陽)を感じます。HIS様のこちらのブログは毎日拝見致して居りますが、林様の記事は一際私の胸に響きます。貴方の素晴らしい感性こそが、砂漠に恵をもたらす雨と同じ様に、私達の心を潤して下さると思います。これからも素敵な記事の掲載を続けて下さいませ。

    • 投稿: ピーさん -2013年8月13日 (火) 05時06分

      ■雲も素敵ですね
      私は、HISさんで昨年ラスベガスを訪れました。それ以来、ラスベガスのブログを毎回欠かさず読ませていただいております。特に林さんのブログを読む時間は、自分がラスベガスに居るような思いです。一度、グランドサークルを自分の目で見て回りたいです。体力とお金が必要ですが。。。

    

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