サワディーカップ、メオダムです。
バンコクで一番古いホテルは、(マンダリン)オリエンタルホテルと言われています。 このホテルは古いだけではなく、タイを代表する超高級ホテルですが、19世紀後半に開業した当時は、シンガポール航路の船員向けの宿であったようです。
しかし、今回メオダムがお伝えするのは、超高級ホテルのお話ではなく、たぶん「安宿」に分類されるような古いホテルです。
ホテルの名前をアトランタホテルと言います。
開業は1952年(昭和27年)。
ドイツ人医師が作ったホテルだそうで、バンコクで初めてのプールのあるホテルだったそうです。
つまり、ここのホテルのプールはバンコクで一番古いことになるようです。
いまでこそ、バンコクではビジネスホテルのようなホテルでもプールがありますが、当時はオリエンタルホテルにもまだプールがなかったようです。
場所はスクンビット通りの起点、JWマリオットホテルのあるソイ(路地)をずっと奥まで入ったところにあります。
このホテル、ちょっとバンコクの他のホテルとは違っています。
まず、入り口の前に警告するかのような文言が大きく書かれています。
"SEX TOURIST NOT WELCOME"
場所柄、この周辺には性風俗を売りにしている歓楽街があり、その手の観光客向けのホテルもたくさんあります。
しかし、このアトランタホテルは断固として、その手の宿泊客を拒否しています。
この点では、マンダリンオリエンタルホテルと共通しているようです。
マンダリンオリエンタルホテルにはフレンチのノルマンディーをはじめ、有名なレストランがあり、ホテルの宿泊者以外もたくさんのグルメたちがやってきます。
ホテルとは宿泊する目的以外にも、食事やパーティー、結婚式に会議など様々な目的でいろんな人たちが利用するものです。
しかし、アトランタホテルはそうではありません。
宿泊者以外は、ロビーにさえ入れません。
レストランも宿泊者専用。
当然、プールも宿泊者だけ。
メオダムは数年前にレストランだけの利用を許されたことがあります。
その時のことも、当時ブログに書いたりしたのですが、もうそのブログは現存していないようです。
で、数年前にどうしてレストランに入れてもらえたかと言うと、今から30年ほど前、メオダムがリュックサック背負ってあちこち旅をしていたころ、このアトランタホテルはバンコクでの定宿でして、そのことを伝えたら入れてもらえた次第なんです。
そう、青春時代のメオダムの思い出があるホテルでした。
当時は、エアコンのない、一番安い部屋が180バーツでした。
さて、今回メオダムの泊った部屋は小さな控えの間のあるようなエアコン付きの部屋で1泊が1,284バーツでした。
エアコンはありますが、部屋には冷蔵庫はありません。
無料の飲料水なども用意されてません。
タオルはバスタオルだけだし、照明は薄暗い。
もちろん、朝食などは別料金だし、宿泊料にはサービス料が含まれてないので、あちこちでチップも必要です。
つまり、コストパフォーマンスのあんまり宜しくないホテルと言うことになります。 しかも、廊下の壁には、さまざまな注意事項と言うか、ホテルの主張が張り出されていまして、 その中には「宿泊料金のことで苦情を言うな」と言ったことまで書かれてあります。
まったく、客を客とも思わない不遜ぶり。
だがしかし、メオダムはアトランタホテルに2連泊して、魅せられてしまいました。
ドアボーイのいないホテルの重い扉をあけると、床が白氏黒の大理石を使って白と黒のがチェックにかったエントランスホール。 奥にはレセプションカウンターと昔の映画にでも出てきそうなゆったりとした階段。
エントランスもレストランも、エアコンはありません。
エアコンがあるのは客室だけ。 1950年代の空気が、そのまま淀んでいる感じです。 「古き良き時代」または「骨董屋の世界」がホテルの至る所に展開しています。
では、写真でホテルの中をご案内してみましょう。
書類や手紙を書いたりできるビジネスセンター(?)。
スタンドライトもいい感じです。
これでタイプライターでもあれば、もっと1950年代ぽくなるのでしょう。
本棚にかかる梯子とか、図書館みたいです。
いちおう、写真には写っていませんがパソコンなんかもおかれてますし、館内は無料のWiFiが飛んでいます。
創業者の肖像画が飾られています。
その両脇に並べられた本は、このホテルに宿泊された人たちが執筆された本のようです。
オリエンタルホテルのように三島由紀夫やサマセットモームなど世界的文豪と言うわけにはいきませんが、それでも随分とたくさんの本があります。
ほとんどが洋書でしたが、日本人の著書もありました。
建築関係の本でした。
エアコンがなくて、ちょっと暑いですけど、ソファーにでも腰かけて、ホテルのパトロンたちが記したページをめくってみるのも悪くなさそうです。
そういえば、この肖像画に似た人を30年前にこのホテルで見かけたことがあるような気がします。
その当時のメオダムは、ここが由緒あるホテルとは知らず、ただの安宿としか思っていなかったので、「高齢の西洋人が暑いのに正装してるなぁ」くらいにしか感じてませんでした。
さて、ホテルご自慢のプールです。 プールは建物を出て、まるでジャングルのような庭の奥にあります。
バンコクの中心地とは思えないほど緑が多くて、トロピカルなムードです。
プールサイドにはデッキチェアだけではなく、ハンモックも吊るされてます。
本や雑誌もたくさん置かれており、のんびりと過ごすのにうってつけです。
メオダムも早速ハンモックに寝転んで、文庫本など読みふけります。
気温は33℃と、暑いのですが、プールサイドから噴水も吹き上げており、日陰に吊るされたハンモックなので、なかなか快適です。
プールはかなり深いところがあり、水深は2メートル以上あり、ちょっとしたダイビングも楽しめます。
メオダムも年甲斐もなくジャンプしてみました。
水中深く沈み、ブクブクと白く光る気泡に包まれながら、水面へ昇っていくのが楽しくて、子供たちに交じって何度もダイビングしてしまいました。
プールの横に古い建物が立っています。 館内いたるところに飾られている古い写真を見ると、どうやらホテル開業当初は、このプール横の建物が宿泊棟だったようです。 現在は従業員宿舎のように使われているようです。
プールは夜も泳げます。
ただし、ここにも警告文があって「夜のプールでは静かにするように」と言ったことが書かれてます。
緑が多いので、夜の照明に照らされたプールサイドはなかなか雰囲気があります。
そうしたプールサイドで食事をしている家族連れもいます。
メオダムは建物の中のレストランで夕食にします。
まずは、ビール。
エアコンはありませんが、天井には大きな扇風機が回っています。
注文しました料理はコルドンブルー。
チーズの入ったカツレツのようなものです。
食べる前に写真を撮ればよかったのですが、半分食べてから写真を撮ってしまいました。
かなりのボーリュームのある一品でした。
レストランの中にも本棚があり、たくさんの洋書があり、自由に読んでも良いようですが、メオダムは英語が苦手なので、背表紙を眺めるだけ。
[サービス料は含まれていないので、チップは料理人と給仕と別々にボックスへ]
今回は、飼いネコを同伴していません。 アトランタホテルでは、動物好きを歓迎するとしていますが、ペット連れの宿泊は認められていません。
しかし、ホテル内にはたくさんの犬やネコたちが暮らしています。
メオダムはネコに関心があるので、ホテルの従業員に、ホテルの中にどのくらいのネコが住んでいるのか聞いてみました。
そうしたらば、なんと20匹ほどのネコたちが暮らしているのだそうです。
これらのネコたちは、あるいは捨てネコだったり、あるいは迷いネコ、あるいは事故に遭ったりしたものが、ここへ運び込まれたものだそうで、ネコたちの救護シェルターのような存在にもなっているようです。
そのせいか、とてもなついて甘えん坊のネコがいるかと思うと、人間不信になってしまっているようなネコもいました。
ホテル内を自由に歩き回っているネコたちも、宿泊客の客室がある上のフロアーへは登っていかないようにしつけられているようです。
そういえば、蚊がいたので、殺虫剤を所望したところ、「殺虫剤はないから」と虫除けスプレーを貸してもらいました。
確認していませんが、ひょっとして、虫も殺さないポリシーなのかもしれません。
アトランタホテル、ちょっと変わったホテルです。 どなたにでもお勧めできるような施設ではありませんが、メオダムは近いうちにまた泊まりたいと思っています。
ホテルのホームページ http://www.theatlantahotelbangkok.com/
残念ながら、このホテルの予約はH.I.S.では受け付けてません。