向田邦子さんは、かつて直木賞を受賞されたこともある小説家で、放送作家で、エッセイストでした。
惜しいことに、今から36年前の1981年8月22日に台湾で航空機事故により鬼籍に入られてしまいました。
メオダムの職場では、メオダム以外はみんな若い人たちばかりなので、向田邦子さんを知らないようですが、メオダムが中学生から高校生にかけて、大変に人気のある作家でした。
「あ・うん」や「父の詫び状」など、向田作品のドラマや映画は時代背景が戦前であるにもかかわらず、とても印象深かった記憶があります。たぶん、劇中に登場し「父は・・」と語りかける主人公の女学生は向田さんの分身のような存在で、その女学生とメオダムが同じくらいの年齢であったこともあるのでしょう。
メオダムの母も、戦前生まれで、向田作品に共感を感じるところが多かったからか、向田ファンでした。

P1010013 [後述するバーンメオ内の猫グッズ売店]

恥ずかしながらメオダム、この年になるまで向田邦子さんの本を読んだことがありませんでした。
テレビではおなじみだったのに、活字の世界での向田作品を知りませんでした。
これが、半年ほど前にたまたま文庫本で「父の詫び状」を読む機会を得ました。
テレビドラマで見た世界とはまったく別物の、エッセイ集でした。
巻末の解説はルポライターの沢木耕太郎さんが書いていました。
しかも、沢木さんがその解説を執筆中に、航空機事故が発生してしまったそうです。

「父の詫び状」から引き続いて、次々に向田さんの本を読み漁りました。
6月には航空機事故現場となった台湾の苗栗県の山へも入ってみました。
メオダムは、本を通じて故人となった向田さんに片思いの恋をしてしまったかのように、向田ワールドにはまっていきました。

Img_9564_3_2

[遠東航空遭難者の慰霊碑は台湾中部苗栗県の山中にあります]

Img_9569 [慰霊碑に刻まれた向田邦子さんの名前 お線香を手向けました]

さて、その向田さんは飛行機嫌いだったようです。
台湾での事故に遭う直前に書いた「ヒコーキ」というエッセイの中で、飛行機の客室乗務員に向けて「本当に平気なんですか」「こわいとは感じないのですか」「本当はこわいのだけど、(略)客足にひびくので、つとめてにこにこしているのではないのですか」といったことを書いている。
他にもアマゾンへ旅行したときのものがあり、アマゾン奥地へ向かう予定の飛行機が直前に墜落してしまい、墜落してもアマゾンではゴルフ場にヘアピンを落としたようなもので、捜索のしようもないと聞かされ、奥地へ向かうかどうか躊躇したことが書かれている。
脱線になるが、アマゾンで墜落し、捜索のしようもないと見放された奥地の事故現場から、たった一人の少女が奇跡的に、自力で生還を果たしている。
また、前出の沢木耕太郎さんもアマゾンの奥地で航空機事故に遭ったが生還されている。

その飛行機嫌いと思われる向田さんは、海外旅行は大好きだったようで、世界中あちこちを旅されている。
その海外旅行のスタートはどうやらタイだったようだ。
向田作品を読み進んでいくと、タイに関する記述があちこちに出てくる。
向田さんのタイは今から50年近くも前のタイの話である。
道端で売っているアルミの食器で供される魚の浮き袋入りカレーライスが1バーツだったともある。
いまや屋台でブッカケ飯を食べても30バーツはくだらない。
それにアルミの食器なんかも使っているところはないだろう。

そのはじめての海外旅行先タイで、生涯独身だった向田さんに、「偏食・好色・内弁慶・小心・テレ屋・甘ったれ・新しいもの好き・体裁屋・嘘つき・凝り性・怠け者・女房自慢・癇癪持ち・自信過剰・健忘症・医者嫌い・風呂嫌い・尊大・気まぐれ・オッチョコチョイ(略)貴男はまことに男のなかの男であります。私はそこに惚れているのです。」とまで言わせるパートナーを得る。

向田さんはバンコクのシャム猫協会会長夫人宅で、熱帯の芝生の上をころげ廻って遊ぶ銀色の猫を見て 『感電』してしまったそうです。
その銀色の猫とはタイ固有種のコラット種と呼ばれる猫。
その三代続く血統書付き、さらに貴族の称号まで持つという仔猫を向田さんはシャム猫協会会長夫人から譲り受けたそうです。
それが「マハシャイ・マミオ」で、向田さんが「男のなかの男であります。私はそこに惚れているのです。」と言うパートナーになるわけです。
ですので、向田作品にはタイのことが良く出てきますが、それ以上に、猫のことはものすごくたくさん出てきます。

Cat_2_5
[メオダムの住むアパート近くの銀猫、コラットの血を引いているのかな?]

同じく猫をパートナーのように思っているメオダムとしては、この手の本を読むと、「うん、うん、そう、そう、あぁ、やっぱり・・」とつぶやいたり、勝手に納得してしまったり、とても共感を呼び起こされるわけです。

現在、時刻は9月9日、午前3時を回ったところで、オフィスでブログを書いてまして、ここには向田さんの本を持ってきていないものだから、猫やタイについて向田さんの本の中にどのように描かれているか紹介したくても、記憶力が悪く曖昧なところが多いものだから、この辺で慎もうと思うのですが、向田さんがバンコクでどんなところを見て歩いたのか、とても興味があるのですが、向田さんの本の行間からは、なかなかグーグル・マップのように場所の特定ができません。
バンコクのホテルのエレベータの中の話に出てくるホテルはたぶん今はなきアマリンホテルだろうか、それとも昔のエラワンホテルだろうかと想像したりしてます。
1バーツのカレーはトンブリ地区のようだけど、さてどのへんだろうか、、
そんな中で向田さんを『感電』させてしてしまった銀色の猫の遊ぶ芝生のあるシャム猫協会会長夫人宅はどのあたりだろうか?
検索エンジンで「シャム猫協会」を調べてもどうもはっきり分からない。
シャムは昔のタイの国号だから現在の国号にした「タイネコ協会」で調べたら「バーンメオ」がヒットした。
バーンメオは、コラート種をはじめとするタイ固有種を守る施設で、水上マーケットで有名なダムナンサドゥアクの近くアンパワーにあります。
どうも向田さんの本に出てくる場所とは違うようだけれど、バーンメオならばメオダムも何年か前に行ったことがある。
そのバーンメオがどうも運営資金繰りで苦しんでいるらしい。

P1010009 [バーンメオで飼育されている仔猫]


もともと雑種の黒猫をパートナーとしているメオダムとしては、「純血種」とか「血統書つき」とかには縁がないのだけれど、19世紀のタイの国が西欧列強の植民地とならず、独立を保てたのも名君ラマ五世が、ヨーロッパの王室へタイの伝統固有種であるところの猫たちを贈り親交を結んだことも一因しているとあっては、この由緒正しき猫たちは、猫ながらにして特命全権大使のような存在であったのだろうし、その末裔たちの暮らす施設が経営で苦しんでいるとあっては、なにか一肌脱ぎたくもなってくる。

さしあたって、バンコクで猫のいるカフェ&雑貨店を経営されているチコさんが本日クラウドファンドを立ち上げられるようなので、ここに紹介させていただきたいと考えたわけです。

https://readyfor.jp/projects/thaicatsiamisebaanmeo

なんだか、脱線のしっぱなしですが、向田邦子さんとバンコクの話はまた機会を改めるとして、今日のところはまた長くなってしまいましたので、このあたりで中締めとさせていただきます。

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