サワディーカップ、メオダムです。
いやはや、新型コロナウイルスで世の中大変なことになっていますね。
タイへ旅行を計画していた方もいるでしょうけれど、このタイミングではかなりハードルが高くなってしまっていますね。
メオダムも今週は海外旅行に出ようと半年も前から計画していましたが、あきらめざるを得なくなりました。
で、そんな皆さんに、ちょっとだけでもタイの旅情を感じていただこうと、メオダムはタイ中北部を走るローカル線の旅情をお届けいたします。
タイへ旅行したいのにとウズウズされている方は、タイ中北部の旅情を感じていただき、次回の旅行での目的地の一つに加えて、来るべき日にはぜひタイ中北部へ足を伸ばしてみてください。
で、今回ご紹介するのは、タイ国鉄サワンカローク線というローカル線です。
これはピサヌロークの北70kmほどのところにあるタイ国鉄北本線ウータラディット県南部のバーンダーラー駅からスコタイ県のサワンカローク駅までの約30kmを結ぶ超ローカル線です。
[タイ中北部のゲートウェイ、ピサヌローク駅]
タイの鉄道は、一日に一本しか電車が走らないというローカル線がいくつかあります。
このサワンカローク線も一日に一往復しか電車がありません。
それもちょっと変則的で、沿線の人たちの生活とは無縁とも思えるようなダイヤで、上りも下りも夕方一本だけです。
タイの国鉄は運賃がとても安くて、初乗りはたったの2バーツです。
その運賃は鈍行の3等車用で、2等車だとその倍額、日本と同様に急行や特急なら急行料金や特急料金が加算されます。
また、日本と違ってエアコンのある車両に乗るにはエアコン代もかかります。
いろいろと追加料金のかかるタイの国鉄ですが、このサワンカローク線を走っているたった1往復の電車は、なんと全席2等の座席指定、エアコン付き、特急列車なんです。
つまり、本来の運賃は3等車で6バーツ、2等車だと14バーツのはずが、特急料金やエアコン代などが加算されて、合計された正規運賃はなんと324バーツにもなってしまいます。
これでは料金が高すぎて誰も利用しなくなるでしょうから、この電車に限って、特別運賃を設定して、電車出発の30分前に空席があれば50バーツで切符を売ってくれます。
それでもまだちょっと高いのですが、この電車、このサワンカローク線内だけを走るのではなく、なんとバンコクが始発で、途中のバンダーラー駅から寄り道してサワンカロークに立ち寄ってから再びバンダーラーを経由して、さらに北にあるウタラディット県のシラアトまで走るというものです。
そして、今回メオダムはバンコクから走ってきたサワンカローク経由シラアト行き特急電車にピサヌロークから乗り込んでみました。
ピサヌロークからサワンカロークまでは約100kmほどですが、やはり運賃は50バーツで、これだとかなりお得感があります。
[ピサヌロークからサワンカロークへの切符 コロナ対策で駅にも消毒用アルコールあり]
ローカルバスでピサヌロークからサワンカロークまで運賃が67バーツで、所要時間が2時間半も多るのと比べて、ずっと安くて早いです。
1日一本しかないのが玉にキズですけどね。
[発着時刻掲示板ではタイ語、英語、中国語で表示されます]
いつものとおり、前置きが長くなりすぎました。
バンコクからの特急は8分遅れでピサヌロークへ到着しました。
もともと、ピサヌロークで10分くらい停車予定だったものを、停車時間を切り詰めて、5分遅れくらいの16:10頃に出発。
[これがサワンカローク線も走る特急]
コロナウイルスの影響で、利用客が少なくなっているのか車内はガラガラです。
そして、やっぱりみなさんちゃんとマスクを付けています。
[エアコン車ですが、天井には扇風機もぶら下がっています]
工事区間では徐行したりしましたが、特急だけあって快適に田園風景の中を走り抜けていきます。
エアコンの効きを良くするためか、窓にはスモークがかかっていて、車窓からの景色は曇よりとしてしまっています。
メオダム、車内でうつらうつらしているうちにバーンダーラー駅に到着。
駅前に町があるわけでもない、静かな駅ですが、ここがサワンカローク線の分岐駅。
資料によれば1908年にこのサワンカローク線が開通しているらしい。
サワンカロークはヨム川という河川の川べりにある町で、昔は水運で栄えていたというから、水運と鉄道をつなげる目的で作られた路線かもしれない。
[バーンダーラー駅で降りた乗客は線路の上をまたいで外へ向かいます]
バーンダーラー駅で進行方向が変わって、バックして走る感じになる。
バーンダーラー駅のあたりはナーン川と言う大きな川があり、灌漑設備が整っているのか、水田が多く、稲が伸びていたり、稲穂が垂れていたりと、なかなか豊かそうな田園風景が広がっている。
1日一本のローカル線なので、線路の補修も後回しにされて、揺れて乗り心地が悪いだろうと覚悟してきたが、予想に反して揺れはほとんどなく、快適。
[田植えをしたばかりの田も、稲刈りを待つ田もあるのは灌漑がしっかりしているから]
踏切も自動化されていて、スピードを落とすことなくスイスイと走れる。
こんなローカル線なのに、ずいぶんとよく整備してあるものだと感心する。
[サワンカローク線で唯一の中間駅に停車]
20分ほど走って、クロンマプラップという駅に停車。
ちょっとした町になっており、その町の中心に駅があるようで、何人かが電車から降りていった。
乗り込んでくる人は誰もいない。
そろそろ、太陽がだいぶ西の空、低いところまで降りてきている。
このあたりから、水田は減って、畑作と果樹園が多くなってきた。
クロンマプラップのクロンとはタイ語で水路という意味だけれども、土地の利用状況からして、灌漑用の水路はあんまり機能していないのかもしれない。
畑で作られている作物は、サトウキビ、大豆、タバコなどのようで果樹園ではマンゴーが目立った。
サトウキビはもうそろそろシーズンも終わり、刈り取りが済んだ畑が目立って、余計に乾燥した土地のイメージを与える。
[クロンマプラップからは水田が消えて畑作中心となる]
さらに20分ほど走ってサワンカローク駅に到着。
ここがサワンカローク線の終点となるのだけれど、メオダムが想像していた終着駅のイメージとはだいぶ違った。
[サワンカローク駅到着]
行き止まりの終着駅なら、駅舎は終端側に作りそうなものだと思う。
バンコク中央駅も、チェンマイ駅も、終端に駅舎があり、そこから櫛形にホームが伸びている。
しかし、このサワンカローク駅はホームの中央部分に駅舎があり、つまり普通の中間駅と同じ場所に駅舎がある。
さっき、ヨム川の水運とを結ぶために作られた路線かと考えたけれど、実際はサワンカロークよりももっと先まで線路を伸ばす計画でもあったのかもしれない。
[この先行き止まり]
サワンカローク駅で降り立った人は多くはなかったが、私同様にただこのサワンカローク駅へ来ることが目的だったような乗客も何人かいた。
彼らは盛んにスマホで写真を撮ったり、自撮りでポーズを決めたりしている。
駅舎の中はレトロな雰囲気が漂っています。
切符売り場の隣には金色をした仏像があります。
膝に置かれた手の指を見ると、人差し指から小指まで長さが揃っているピサヌローク様式です。
なにか由縁のある仏像なのかわかりませんが、田舎の駅にしてはずいぶんと立派な仏像です。
[出札窓口となりの黄金仏]
電車の発着は1日一本だけなので、時刻表も料金表も表ひとつで足りてしまうようです。
その隣には大きな秤があります。
チッキで荷物を送るときに重さを測る秤ですが、1000キロまで目盛が付いています。
今の日本ではチッキでモノを送るなんてことはなくなってしまっているようですが、タイの鉄道ではチッキは現役で、大きなものではモーターバイクなどもチッキで送ったりしています。
時刻表と一緒にまとまっている運賃表を見ると、ここからピサヌロークまでも50バーツとなっています。
ピサヌロークからサワンカロークまでが50バーツだから、その逆も50バーツで当然と思われるかもしれませんが、最初にも説明した通り、サワンカロークを出発した電車はバーダラー駅で北本線へ合流した後、ピサヌロークとは反対のシラアトへ行ってしまいます。
ここからピサヌロークへ向かうとしたら、終点のシラアトまで乗って、その折り返しとなる電車にピサヌロークまで乗るということになるようです。
時刻表によれば、18:01にサワンカロークを出て、シラアトへ行って、その折り返しが19:50でピサヌローク着が21:26と、3時間以上かかることになっています。
メオダム、ピサヌロークへ戻るのに、そんなに時間をかけたくなかったので、ローカルバスを拾ってピサヌロークへ戻るつもりでした。
[バス停近くにこんな見晴らし台が、なんとなくいい雰囲気]
しかし、これが失敗。
タイの田舎のバスは、終バスがやたらと早く、日没後にはバスの運行が終わっているのが当たり前ということを忘れていました。
サワンカロークの街に人に聞きながら、ピサヌローク行きのバスが通るという街はずれのバス停まで歩いてきたのですが、バス停となっている雑貨屋の女主人に次のバスの時間を聞いたら、明日の朝の6時とのこと、なんと今日のバスは17:30で終わっていたそうです。
電車もなく、バスもなく、メオダム急遽サワンカロークの町に一泊することとなりました。
夜の田舎町って、屋台くらいしかないんですよね。
それもバンコクと違って、テイクアウト中心の屋台。
[サワンカロークの夜店街、サーイ8]
もし、皆さんもこのローカル線に乗られるなら、サワンカロークで一泊するくらいのつもりで来てください。
もっとも、夜行バスでも良ければ、サワンカロークを出発してバンコクへ早朝到着する高速バスは夜遅くまで走っていますよ。
サワンカロークでは、ヨム川を渡ってところに博物館があり、スコタイ時代やその前のクメール文化圏時代の収蔵品を展示していて、一見の価値があります。
また、この電車に接続してシーサッチャナライ遺跡まで行くソンテウ(乗り合い小型トラック)も運行しています。
さぁ、コロナが去ったら、タイ中北部で、みなさんもパイオニア気分で旅してみませんか。