サワディーカップ、ピサヌローク支店のメオダムです。
メオダムはこのところタイ東北部のウドンタニという街へ遠征していることが多いのですが、今回はその遠征の一環で訪れたブンカーン県のワットプートックをご紹介します。
ブンカーン県と言うのは、タイにある全部で77の県のうち、今から10年ほど前にノンカーイ県から分離して誕生した一番新しい県です。
なので、名前も聞いたことのない人が多いと思います。
このブンカーン県には、何千前年という時間をかけてメコン川の浸食により出来上がった変わった地形が点在しています。
主に巨大な砂岩の岩山なんですが、「自分が蟻ンコ」になったら、世の中こんな感じに見えるんじゃないかという世界なんです。
つまり、真っ平らな地面に、岩が露出しているだけなんだけど、アリから見たら、岩など超巨大に見えるわけで、それと同じように、人間様の世の中に「なんでこんなもんがあるんじゃい」と言った感じで、超巨大な岩山がドカーンと存在しているんです。
典型的なのどかなイサーンの村の向こうに巨大な、岩山。
なんかショートケーキみたいに、垂直に切り立って、上の部分は真っ平ら。
へんな感じですよね。
この山の斜面、いや、斜面と言うより側面に筋みたいに見えているのが、岩山にある寺院の施設の一部なんです。
この岩山がプートックで、お寺がワットプートックです。
では、さっそくご紹介していきましょう。
ワットプートックの入り口は、なんとなく動物園みたいな感じがします。
東北タイ、イサーンと言えば、そのシンボルみたいな動物は水牛なので、水牛のオブジェはわかるとして、ライオンのオブジェとかもあったりするんです。
お寺の境内に入ると、緑のペンキを塗ったたようなグリーンの池があります。
家には現在製作中と言った感じで、白いパビリオンが浮かんでいます。
このプートック、近年タイの人たちに人気急上昇中で、多数の来場者があり、お寺も次々に新しい施設を増築中のもよう。
緑の池の手前には、新しくピカピカ、モダーンな仏塔も建っています。
さぁ、このプートックに登ってみましょう。
下から頂上までの高さは140メートルだそうですからタワーマンションの40階くらいの高さに相当します。
下から見上げると、ゾクゾクしてきますね。
このプートックの岩山、頂上まで7つの階層に別れています。
各階層へは木製の階段が付いているので、登りやすいです。
そして、岩肌が垂直に切り立っているので、その岩肌にやはり木製の桟道が貼り付いています。
木製の桟道や階段と言うのがこんな感じ。
断崖なんてナマヤサシイもんじゃありません。垂直な岩肌に穴を開け、そこに支柱を打ち込んでるだけです。
大東亜戦争中に戦争捕虜や現地労務者に多くの犠牲を出しながら建設された泰緬鉄道の最難関、アルヒル桟道とおんなじような工法ですね。(アルヒル桟道も現在はコンクリートの支柱のようです)
登り口のあたりにはたくさんいたタイ人観光客も、階層を増していくうちに、どんどん脱落者が出て、第5階層あたりまで来るとだいぶ減ってきます。
ここのすごさは、木製の桟道や階段が岩にへばりついているということもありますが、柵や手すりの高さが低いということです。
身長186cmのメオダムなど、柵の高さが太ももあたりまでしかなりません。
そのため、「もしここで転んだら、柵を越えて、真っ逆さまだな」という恐怖が常に付きまといます。
なので、高所恐怖症の人にはお勧めできません。
垂直に階層が設定されているので、上からの落石など落下物が当たったら大けがをしてしまうでしょう。
そのためか、危なそうなところには、簡単な屋根がかけられてシェルターになっています。
このプートックの階層の中で、いちばん景観が良いのは、第5階層と第6階層だとメオダムは感じました。
どちらの階層もこの巨大な岩山をぐるりと囲んでおり、一周できるし、下界の大平原を一望のもとに見張らせるのですが、特に第5階層には小さな支峰がわかれています。
上の写真に写っていますが、岩峰の上にお団子のような丸い岩が乗っかっていますが、プートック本体と支峰との間には、鉄製の橋がかけられており、空中で渡ることができます。
そして、その支峰には仏像がたくさん祀られて、聖域のようになっています。
そのためか、この支峰へ渡るときには靴を脱いで裸足にならなくてはなりません。
また、支峰以外にも、第5階層には洞窟があり、そこもやはり仏像が安置され、天然の礼拝堂のようになっています。
もともと、このプートック、観光客向けの観光地などではなく、ここのお坊様たちが厳しい修行をされ、人の近づけないような厳しい環境で静かに瞑想するための場所でした。
そのため、このような仏教施設や、またお坊様が山にこもるための小屋などが点在しています。
しかし、絶景ですよ。
テーブルの上に登った蟻ンコにもし景色を楽しもうという趣味があれば、蟻ンコもあんなに働いてばかりでなく、きっと立ち止まって、景色を眺めたりするのもいるだろう。
私は働きアリではないので、眼下に広がる真っ平らなイサーンの大地を「うぉぉぉ地球だよぉ」なんて感じながら、眺めを楽しんでしまいます。
鳥になったら、こんな視覚体験もできるかとも思うのですが、違います。
鳥のように翼で空へ舞い上がるのではなく、足で登るから、この景観の感動はより大きいのだと思います。
突然、下世話な話になりますが、眼下に広がる樹海のような大森林は、天然の森ではなく、人工的に植えられたもの。
ゴム採取を目的とした巨大なプランテーションです。
ここブンカーンの主要産業は農業ですが、特産品は「かぼちゃ」とされていますが、生産量から言ったらたぶん天然ゴムが占める比率が高いのではないでしょうか。
第7階まで登ると、もう木製の桟道はありません。
この巨大な岩山テーブルの天板の上に出たことになります。
そして、ここではもう道が獣道のようになります。
木々が鬱蒼と生い茂っています。
その木の根や幹をかき分けながら、獣道を進みます。
テーブルの天板ですから、テーブルの端に出なくては、眺望は開けません。
そして、平らな天板ですので、「ここが頂上」と実感できる場所もありませんが、テーブルの端には"View Point"とされている場所があります。
写真の下の方に写っているのが、さきほど第5階層にあった団子見たいな岩を載せた支峰。
第5階層から見たときは、まん丸くて団子見たいな岩でしたが、こうして上から見てみると、「おはぎ」みたいな形に見えます。
そして、向かい側にも、こちらと同じくらいの高さのある巨大な岩山が見えます。
あちらもテーブルの上の部分に仏教施設のようなものが見えますが、そこまで登るための桟道や階段は見えません。
さて、あそこにはどうやって登るのでしょうか?
黄色い袈裟をまとったお坊様たちは、ロッククライミングでもされて登られるのでしょうか?
実は、プートックという岩山は2つあり、今回メオダムが登ったのはプートック・ノイという岩山で、向かい側にあるのは、それよりも大きいプートック・ヤイだそうです。
「ノイ」というのはタイ語で「小さくてかわいらしいもの」という意味で、「ヤイ」と言うのは「大きいもの」と言う意味です。
下から、この第7階層まで、登ってくるのにだいたい1時間ほどかかりました。
この季節、湿度は低く、風は爽やかなので、1時間も岩山と「格闘」した割には、それほど汗もかかず、楽勝でした。
下りは、さらに楽勝で、30分くらいで下山完了してしまいました。
このワット・プートックまでは、ウドンタニの街から車で3時間少々、距離も200kmほどと近くはありませんが、絶景好きの方には、行くだけの価値かあるスポットだと思います。
これはまた次回にでもご紹介しようと思いますが、このプートックから車で30分ほどのところに、これまた絶景ポイントの「くじら岩」があります。
ブンカーン県、遠くて行きにくいところですが、一度は行ってみていい場所だと思いますよ。
ちなみに、我ピサヌロークの街から、ブンカーン県までは夜行の直行バスが、毎日1便出ています。
乗車時間は10時間ほどもかかります。
で、そんな不便なところを紹介されても困るという向きの方々に、H.I.S.バンコク支店で楽々参加できるブンカーン県絶景めぐりツアーが発売開始されました。
発売記念キャンペーンもあるようですので、このシーズン、ブンカーンで天まで昇ってみませんか?