サワディーにゃお!
みなさん、お久しぶりです。
HISピサヌローク支店に来ていた地元大学からの研修生たちも無事にインターン期間が終了し、また静かな支店になりました。
そのためブログの更新も緩慢になってしまったので、メオダムの登場となりました。
今回は電車旅です。
週明け月曜日にバンコクのオフィスで仕事をしたメオダム、火曜日は振替休日となっていました。
そこで経費節減のためもあり、バンコクからピサヌロークまで鈍行列車、しかも三等車で移動することにしました。
この写真がその切符です。
バンコクからピサヌロークまで380kmなのに対して、切符代はたったの69バーツ‼
日本円換算でだいたい250円くらい。
日本だったら地下鉄の初乗り運賃並みの金額で、東京→名古屋または東京→仙台以上の距離の移動ができてしまうんです。
激安なんてもんじゃありません。
この電車がバンコクからピサヌロークまで行く鈍行列車です。
始発駅はフアランポーンと呼ばれる昔からあるバンコク中央駅です。
この駅の名物ともいえるのがホームに停車中の電車の車体をゴシゴシと水洗いしている風景です。
なんで車庫を出る前に済ませてこなかったのか不思議ですが、この駅から出発する電車たちはホームで出発を待つ間に水浴びをするんです。
電車の車内で出発を待っている乗客は窓をちゃんと閉めておかないと、頭から水を浴びることになってしまいます。
今年の1月にバンコク郊外には新しい中央駅が完成して、特急や急行などはその新しい駅が始発駅となってしまいました。
そのため、この古い駅は鈍行列車専用となっています。
午前9時30分。
定刻の出発です。ピサヌロークへの到着予定時刻は夕方6時前。
約8時間半の長旅です。
バンコクからピサヌロークまで全部で57もの駅があることになっています。
駅と駅との距離の平均は6~7キロほど、だいたい10分おきくらいに停車する計算になります。
始発のバンコク駅で電車の時刻表をもらおうとしたのですが、「紙の時刻表はないからウェブで見るように」と言われる。
以前は、各方面行きのA4サイズの時刻表を案内所でくれてたのだけれど、世の中ネット全盛になってしまったようです。
経費節減、資源の問題からも良いことかもしれないけれど、8時間半もの長時間、私のスマホは電池がなくなる心配もある。
飛行機やバスのようにシートにUSB電源があるわけではない。
USB電源どころか、エアコンだってない。
扇風機は天上からぶら下がってくるくると回っている。
走り始めると、線路沿いのスラムの軒先をかすめながらゆっくりと進む。
ところどころ大きな踏切では一時停止もする。
タイでは電車の踏切でも自動車は一時停止などしない。
日本のようにカンカンと鳴ってもいない踏切で一時停止などしたら後続車に追突されかねない。
いや、カンカンと鳴っていても遮断機が下がりきるまでは、車はどんどんと踏切に進入してくる。
よって、電車の方が踏切手前で一時停車しなくては、危なっかしくて踏切なんか通過できない。
そんなノロノロ運転で、スラムの軒をかすめていたら、手を伸ばせば届きそうなところにネコがいたりもする。
しばらくスラムが続いた後、きれいに整備された運河沿いを進む。
すると見えてくるのが、チトラダ宮殿。
現王室の居所とされる王宮で、王室専用の瀟洒な駅もある。
現在もタイの王族が移動に電車を使っているのかはわからないけれども、王室専用駅のホームは清掃が行き届いているようでホームもピカピカ。
先代の国王、ラーマ9世が若いころはタイ全国を王族専用の特別列車で巡幸されていたようで、よくその当時の写真が駅に飾られているのを見かける。
2つめの駅バンス―では、バンコクの新しい駅が見える。
正式名称がクルンテープアピワット駅と言うそうで、やたらと長くて旅行者程度にはまず覚えられそうにない名前。現国王が命名された畏れ多くもカシコき駅名なるそうだ。
東南アジア最大の駅ということらしいけれど、とんでもなく不便な駅でもある。
このバンス―駅を過ぎると高架橋へと登る。
高架なので道路とは立体交差、踏切もないので一時停車もなくスイスイと進む。
以前はこの高架下に古い線路があり、いくつもの駅があったのだけれど、みんな廃止されてしまったようだ。
廃止された駅周辺などの住民は、従来の電車ではなく新しく開通した新型通勤電車に乗るようにとのことらしいけれど、新しい電車はエアコンなどがある代わりに運賃は従来の10倍以上もする。
そのせいか、新しくてきれいな電車は乗客がほとんど乗っておらず空気を運んでいる具合。
それと新型通勤電車はバンコクの中心部へは乗り入れておらず、先ほどのクルンテープアピワット駅までしか行けない。
つまり、よほど条件が揃わないと、利用する意味のない路線ということになる。
それに対して、こちらの電車はエアコンはないけれども運賃が安いこともあって、ほぼ満席の盛況。
写真を見ていただければお分かりの通り、現在でもタイの人たちはほとんどマスクを着用しています。
マスクをしていない乗客のほとんどは外国人旅行者です。
その外国人旅行者の比率は2割ぐらいありそうです。
この電車は途中で世界遺産のあるアユタヤにも停車するからでしょう。
それにバックパッカーにも嬉しい激安運賃。
高架上での駅はたった一つで、ドンムアン駅。
この駅はLCC(格安航空会社)専用の空港、ドンムアン空港のターミナルへ直結しているので、空港へ向かうツーリストにも利用価値が高いようです。
バンコク市内で渋滞に巻き込まれてハラハラしないで済みます。
さて、それにしても運賃が安すぎるとは思いませんか?
実はもう30年以上もタイ国鉄は運賃の値上げをしてきていません。
もっとも運賃以外の特急料金とか寝台料金とかは、いろいろな理由つけて値上げをしてきました。
そのため、例えばバンコクからチェンマイまで寝台特急で行こうとすれば、格安航空会社の航空券代と大差ないくらいの金額となります。
しかし、運賃だけで乗れる鈍行列車は、何十年も昔のままの金額なんです。
私の記憶では30年くらい前のバンコクのバス代は2バーツくらい。
電車の初乗り運賃も2バーツでおんなじ。
バンコクからチェンマイまでのエアコンバス運賃が250バーツで、鉄道の2等運賃もそのくらいでした。
しかし、現在バス代は3~4倍くらい値上がりしてますから、電車の運賃もそのくらい値上がりしてもおかしくないはず。
値上げしてほしいわけじゃないけど、政治的理由で値上げしないんだろうな。
バンコクを出てから約1時間半。
ランシットを過ぎると緑が濃くなってきます。
田園風景の中に大学の郊外キャンパスが続く。
大学のキャンパスが途切れると、次は工業団地が続く。
そしてバンパイン駅に到着。
バンパインには王室の夏の離宮があることで知られており、世界各国から友好の印として贈られた建物が緑の庭園内に並んでおり、以前はアヤタヤ遺跡観光ツアーと抱き合わせで観光客に人気があったものだけれども、最近はあんまり名前を耳にしない気がする。
このバンパイン駅にも王室専用の待合室がホームの端にある。
私の知る限りでは、このような王室専用の待合室がある駅は他にフアヒン駅がある。
しかし、どちらもよく手入れされているけれど、今でも王室が利用しているようには見えない。
この写真に写っているのは王室待合室ではなくただの駅舎。
建物右側に金色の鐘が見えるけれど、これはタイの発車ベル。
電車が駅を出発する時のベルは駅長さんがこの鐘をカーンと鳴らすだけ。
その方が、情緒があるとメオダムは思っています。
線路に沿って高架橋の工事を見かけます。
よく見たら中国の支援による高速鉄道の工事のようでした。
将来はバンコクからタイ東北部を縦断して、中国は雲南省からラオスへと伸びてきている高速鉄道とつなげる計画らしい。
でも、この建設現場を見る限りでは、完成までにはまだ何年もかかりそうに思える。
バンコクを出てから約2時間かかってアユタヤ駅到着。
言わずと知れた世界遺産のあるところなので、ここでホームへ降りる外国人観光客の姿が目立つ。
電車を使えばアユタヤまでとても安く日帰り旅行ができてしまう。
それに、タイのローカルな電車に乗るのも旅のアトラクション的な要素が高い。
電車の車内では、通路を色々な食べ物売りが行き来していて、車窓を楽しみながらローカルフードを食べることができる。
ガパオライスのようなお弁当、果物、お菓子、飲物と売り歩いているけれど、駅のホームで日本の駅弁屋さんのように、売り子さんが走り回っている姿はほとんど見かけない。
昔はタイでも駅ごとにホームで売っているものを窓越しに買ったりしたものだけれど、タイでも最近は窓の開かない電車が増えたからだろうか。
飲物売りは、だいたい大きなバケツに氷を入れて、そこにペットボトルを放り込んで売っている。当然バケツは重くなるので、売り歩くのも重労働。
しかし、この写真のような飲物売りもいる。
これはアイスコーヒーなどをビニール袋に氷と一緒に入れ、袋を輪ゴムやひもで縛ったもの。
これは一袋10バーツくらいから、ベッドボトル入りのコーラが25バーツだったので、それと比べると格安。
飲む時はストローをビニール袋に刺したり、縛り口から通したりしている。
日本ではあまり見かけないけれど、タイの田舎ではよく見かける飲み物の一般的販売形態。
ちょっと遅れが出ているようで、ロッブリー駅を出たのが午後1時少し前。
ロッブリー駅周辺には12世紀のクメール時代の遺跡から18世紀アユタヤ時代の遺跡がたくさんある。
駅の構内にもレンガの崩れかかった仏塔があったりする。
駅を出てすぐにクメール時代に作られたヒンズー教の塔がそびえているのが窓から見える。
ヒンズー教のシヴァ神を祀る塔で、周辺にはたくさんのサルが住み着いている。
サルはヒンズー教では神様の遣いということで、ヒンズーの神殿近くではサルのサンクチュアリーのようになっていて、観光客からエサをもらったりしているけれど、サルの数が増えすぎてしまい、イタズラをするサルも多くて、問題化しているそうだ。
いまは乾期で、灌漑施設のないところでは土地がからからに乾いていて緑が少ない。
そんな草があんまり生えていないところでも牛やヤギの放牧をしていたりする。
でき、食べ物が少なく、この暑さなので牛もヤギも痩せている。
シーズン的にはもうそろそろ終わりのはずなのだけれど、サトウキビを製糖工場へ運ぶトラックも良く見かける。
重量制限オーバー確実と思われるくらいにサトウキビを満載している。
このトラックに積まれているサトウキビは機械で収穫したもののようで、サトウキビが短く切り刻まれている。
手作業で収穫するものは、2メートル以上もある竹竿のようなサトウキビとなる。
メオダムもお腹が空いたので、ナコンサワン駅から乗り込んできた売り子からトートマンプラーというタイ風のさつま揚げとモチ米を買う。
これで40バーツ。
トートマンプラーはこの辺りで獲れる魚をすり身にして、レッドカレーのペーストと練り合わせて油で揚げたもの。
ちょっとピリ辛でハーブが油で焦げて香ばしい。
これをツマミにしてビールでも飲みたいところだけれど、数年前からタイでは電車やバスの中でアルコール飲料を飲むことが禁止されてしまっている。
食後のデザートになにか果物を食べようと思い、果物売りの売り子さんのカゴの中をチェック。
あるものは、まだ未成熟の緑色をしたマンゴー。
これはだいたい一年中出回っていて、タイの若い女性がおやつ代わりによく食べている。
コリコリとした歯ごたえがあり、酸味がある。
それからソムオーと呼ばれるポメロ(ザボンの一種)。
これも美味しい。
しかし、メオダムが選んだのは上の写真にあるニワトリのタマゴ大の黄緑色した果物(?)。
こちら10バーツでしたが、メオダムも今まで食べたことがありません。
売り子さんに名前を聞いたら「マコーク」とのこと。
マコークならメオダムも名前だけは良く知っている。
バンコクの名前の由来にも関係しており、バンコクのコクとはマコークのコークから来ていて、マコークの木のこと。
バンコクのバンとは水辺の村のことを意味するので、バンコクとはマコークの木が茂る水辺の村という現代のバンコクとはかけ離れた長閑な名前がオリジナルらしい。
そのマコークの実を果物のようにして食べるとは知らなかった。
ちょっと硬いのだけれど、齧ってみると甘酸っぱい。
繊維質の多い果肉で、中心部の種子の部分はトゲトゲに覆われていて、固くて食べられない。
凄く旨いというものではないけれど、適度な酸味は電車の長旅に疲れによく効きそう。
タイ中部の大平原をひたすら走る。
東南アジアではこの季節PM2.5が深刻で、この電車に乗っていても少し目が痛くなってくる。
そのPM2.5の発生源がこの写真。
あちこちで野焼きが行われていて、煙が上がっている。
政府は野焼きをしないように呼び掛けているけれど、野焼きをしてできた灰は物価高で肥料の価格も高騰しているので、農家にとっては肥料代わりとしてなくてはならないものとなっている。
電車の遅れは1時間ほどとなっており、ビジット駅を過ぎたあたりで夕日が沈み始める。
これもPM2.5に煙っているからだろうか、夕陽がぼんやりと見える。
しかし、東南アジアらしい陽の沈み方ともいえる。
陽が沈むと、すぐに外は真っ暗となり、電車の車内には明かりがともって、夜汽車のような物悲しい哀愁が車内に漂ってくる。
もう乗客もまばらになってきた。
バンコクを出てからもう9時間が過ぎている。
メオダム以外にバンコクから乗り通している人がいるのかよくわからないけれど、西洋人観光客の姿は何人か車内に残っている。
この人たちは今夜はピサヌロークに一泊して、明日はスコータイ遺跡へバスで向かうのだろうか。
夜7時少し前、終点のピサヌローク駅に到着。
長旅だったけれど、少額の運賃で朝からたっぷり汽車旅を楽しませてもらった。
早くシャワーを浴びたい。
小さくて可愛らしい駅前ではバイクタクシーやトゥクトゥクが電車から降りてきた乗客に声をかけている。
ハロー、ウェアアーユーゴー?
大きなバックパックを背負った西洋人観光客を取り囲んでタイ人のしゃべる独特なイントネーションの英語が飛び交っている。
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投稿: Yuko -2023年3月23日 (木) 22時38分
ファランポーン駅発長距離列車が無くなり残念です。それにしても鈍行で9時間は凄い!ピサヌロークのブログも楽しみにしていますので、今のピサヌロークの情報よろしくお願いいたします。
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投稿: メオダム -2023年4月12日 (水) 19時09分
YUKOさん、コメントありがとうございます。
先日ピサヌロークの近況ブログを書かせていただきました。
明日からタイはソンクラーン正月です。
本当は、ピサヌロークでのソンクラーンの様子をブログで紹介すべきところ、メオダムは明日からハーレムという町へ旅行する予定なんです。ハーレムはタイではないので水かけ祭りはありません。