サワッディーチャオ、チェンライ支店のソムです。往復3キロリス族の集落を歩き、高低差のあるアカ族の集落を散策し、もう私たちは喉カラカラです。駆け込む先はメーサロン名物台湾式茶芸館。乾いた身体になによりの甘露です。
シュンシュン湯気の立つヤカンから、しっかり温めた茶器に勢いよく熱湯を注ぐ。茶葉は踊り、開き、芳醇な香りがたちます。
使う茶葉はメーサロン産ウーロン茶。反共の砦として戦うことを止め、武装解除した国民党第93師団5軍、彼らがこの地に根付いて生きていくと決めたときからメーサロンを支えたのは、台湾から送られたお茶の苗木でした。
お茶のたしなみ方は、台湾式。背の高い茶器では香りを、浅いほうで味を楽しみます。背の高いほうに茶を注ぎ、浅いほうで蓋をして
片手でくるっと天地を返します。熱くない、熱くない。一瞬です。
真上にすっと引き上げ、鼻に近づけ香りを楽しみます。2,3回左右に振って空気に触れさせて、再度香りを楽しみます。どうです?香りに変化がありましたか?
つぎに、浅いほうでお茶を口にします。いったん喉に落ちて、下からホワンと甘みが上がってきます。これがメーサロンの甘露。
三煎目までは、味も香りも素晴らしいものがでますので、しばしお代わりを楽しんだら、どんな茶葉が使われているのかみるのもまた一興です。このとおり、小さな一芯二葉が現れました。
メーサロンのお茶は45日から60日に一度、約6回から8回茶摘みをします。一番上の新芽の2,3枚の葉だけを手摘みし、拡げ(この時発酵が始まります)、乾燥させ乾煎りし(発酵を止めます)、もんでもんで圧縮し、コロコロしたウーロン茶葉になります。
これがお茶の花です。お茶の木はカメリアシネンシス。椿に似た小さな花が咲きます。葉の表面はぴかぴか光る照葉樹。ブータンから雲南、北タイ、台湾、沖縄、南九州へと続く、照葉樹林文化の帯の上にこのメーサロンは位置しています。
こちらは北タイ固有のお茶の木です。成長すると20-30mの大木になり、茶葉は大人の手の平サイズです。アッサム種に近いといわれていてウーロン茶には加工しません。
摘んだ葉を広げて干して揉んで、鍋で乾煎り。飲むときはヤカンで煮だします。味は懐かしいほうじ茶のようです。カレン族、アカ族、リス族、どのお宅に行っても、「お茶を飲んでいきなさい」と言われて出されるのは、この素朴なアッサム緑茶です。
メーサロン茶芸館を含むツアーはJ.トラベルbyHISで販売しています。暑い時期ですが、様々な野望と夢が駆け巡ったミャンマー国境の山を歩いてみませんか。ケシに代わる商品作物でもあるウーロン茶で一休みタイムもまた乙なものです。