サワディーにゃお!
H.I.S.ピサヌローク支店のメオダムです。
このところタイではプーケット・サンドボックスとかホアヒン・リチャージ、チャーミング・チェンマイなどタイでのコロナ検疫隔離なしのパイロットプログラムでさまざまな情報や噂が飛び交っています。
ここにあげた名前は、それぞれの地域(県)ごとのパイロットプログラムの名称で、名前からして混乱しているような気がします。
ピサヌロークは幸いと言うか、この手の混乱には巻き込まれず、外国人観光客受け入れなどの話は全く出てきません。
しかし、そんなピサヌロークは地道にコロナ禍からの立ち直りを目指してゆっくりですが動いています。
新規感染者も落ち着いてきています。
そんな中で、ずっとタイ入りが禁止されていましたワットヤイの礼拝堂へ入れるようになりました。
ワットヤイというのは、当地での通称で正式名称は、ワットプラシーラタナマハタートといい、スコータイ時代に創建された由緒あるお寺です。
そして、ここの礼拝堂(タイ語でウィハーンと呼ばれます)には、タイで最も美しいと言われる仏像、チンナラート仏が安置されています。
こちらもスコータイ時代、14世紀にリタイ王の命により作られた仏像で、パワースポットとしても知られており、タイ全土から参拝者が押し寄せてきていたのですが、タイを襲ったコロナ第3波(2021年4月~)で、三密による感染防止策の一環として、仏像を安置する礼拝堂への立ち入りが禁止されていました。
参拝者は礼拝堂の開かれた門扉の手前から願い事を唱えなくてはなりませんでした。
しかも、礼拝時間は一人5分までとの制限まで付いていました。
それでも、参拝者が並ぶのは、よほど霊験あらたかな証左なんでしょう。
そうした入場規制も、先日ようやく解除されて、午前6時半から午後5時まで誰でも礼拝堂に入って拝むことができるようになりました。
礼拝堂の入り口には、検温機と消毒用のアルコールが設置されています。
ちなみに、やはり礼拝堂内での混雑を避けるために、一度に礼拝堂は入れる人数は制限されており、制限人数を超えた場合、外に設置されたプラスチック製の椅子に座って待たなくてはなりません。
メオダムが訪れたときは閉館間際だったこともあり、待たされることもなく礼拝堂の中へ入ることができました。
そして、礼拝堂の床には、マス目が描かれていて、参拝者は一人ずつこのマス目に入って礼拝することになります。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、このワットヤイの礼拝堂では、みなさん仏像に目を奪われてしまいがちですが、礼拝堂内の壁にも注目していただきたいと思います。
ワットヤイの礼拝堂入口右側には、お釈迦様の生涯を描いた壁画があります。
お釈迦様、本名をシッダルタと言うのですが、釈迦族の王子として2600年ほど前にインドでお生まれになられました。
お釈迦様は大変聡明で、何不自由のない暮らしをされていましたが、宮殿の中だけで暮らしてきたので、世の中に苦しみがあることを知りませんでした。
あるとき、宮殿の東の門から外へ出る機会があり、初めてヨボヨボで貧しい身なりの老人を目にしました。
お釈迦様は世の中には「老いる苦しみ」と言うものがあることを知ります。
さらに、南の門から出た時には、重い病の人を見て「病の苦しみ」、西の門では死んだ人を見て「人の死」を知ります。
最後に北の門から出た時に、お坊さんに出会います。
お坊様は、一切の私欲を捨てて、真理を探究されていらっしゃります、
これこそが苦しみから解放されるものとお釈迦様は考えます。
お釈迦様も、出家をして真理を追究することを希望しますが、父王はそれを認めません。
父王はお釈迦様をもっと楽しく宮殿内で過ごさせれば、考えも変わるだろうと、宮殿内で盛大に宴会を開き、着飾った美女たちを躍らせて、お釈迦様を喜ばせようとしました。
宴会も終わった夜中に、お釈迦様はひとり目を覚まされて、中庭を見てみると、酔いつぶれた踊り子たちがみだらな姿で眠りこけていました。
「なんと見苦しい、世の中には貧乏で苦しんでいる人々が大勢いるというのに、、」
お釈迦様はひそかに宮殿から脱出することにします。
宮殿から出るお釈迦様を精霊たちが護衛します。
お釈迦様の乗った馬が、蹄の音をたてないようにと、精霊たちは馬を持ち上げて、音もなくお釈迦様は宮殿からの脱出に成功します。
この壁画を見ると、精霊たち馬の蹄を手のひらに乗せている様子がわかります。
こうして宮殿を脱出したお釈迦様は、川のほとりで修行生活に入ります。
①お釈迦様は、髪を切り落とされると、その髪は天に舞い上がって、インドラ神が拾われて「これは高貴なものである」と崇めたのだそうです。
こうして厳しい修行に入ったお釈迦様は、断食をして、生死の境を彷徨いますが、しかし真理を得ることはできず、修行に失敗します。
身体はやせ細り、新たな修行に入る体力もありません。
②そこへ川のほとりの村に住む娘、名前をスジャータと言うのですが、その娘から滋養豊富な乳がゆをもらい、体力を回復させました。
スジャータは「褐色の恋人」として売られてますが、語源はここから来ているんですね。
③さらに草刈りをする村人から、わら束をもらい、そのわら束を菩提樹の木の下に敷いて、再び瞑想修行に入ります。
こんどは、修行も順調に進んでいったのですが、この修行中に悪魔がお釈迦様の修行の邪魔を企てます。
④迷走修行中のお釈迦様に邪念を惹起させようと、お釈迦様の周りで半裸の美女たちを踊らせて、誘惑しようとします。
しかし、この悪魔の計画は失敗し、お釈迦様は動じることもなく瞑想を続けます。
色仕掛けなどではダメだと悟った悪魔は、武力でお釈迦様をねじ伏せようとします。
⑤悪魔の軍隊を派遣して、お釈迦様に戦いを挑みます。
お釈迦様は、座禅を組んでいる姿から、右手を下に伸ばして「悪魔よ去れ」と一声あげます。
すると、髪の長い大地の女神が現れてお釈迦様を悪魔の軍団から救います。
ここでは大地の女神がどのようにお釈迦様を救ったのか、描かれていませんが、ワットヤイから国道を挟んだ向かい側にあるワットラーチャブラナの礼拝堂にある壁画には、続きが描かれています。
大地の神様の長い髪を絞ると、途方もない水が噴き出して、あたり一帯が大洪水となって、悪魔の軍団を呑み込んでしまったというものです。
たぶん、ほとんどのタイのお寺の壁画には、このようなお釈迦様の物語や古代インドの叙事詩からタイ版として再編集したラーマキエン物語などを見ることができます。
たぶん、観光できらびやかなタイのお寺を見学しても壁画など見過ごしてしまうこともあるかと思いますが、よく見ると壁画にはストーリーがあって、ちょっと調べながら見て回ると、なかなか面白いですよ。
ピサヌロークではタイ国内からの観光客は隔離なしでの受け入れを開始しました。
条件として、「ワクチン接種を2回終えていること」となっていますが、ピサヌローク到着時に係員の要請があればATK(抗体簡易検査)を受けていただき、陰性であればワクチンの接種の有無に関係なく旅行できます。
9月23日からはバンコクからの特急列車も運転が再開されて、これまでより2時間も早い、バンコクから5時間以内で到着できるようになりました。