サワディーカップ、ピサヌローク支店のメオダムです。
いまタイは新型コロナウイルス第二波で大変なことになってますね。
日本は、第三派が猛威を振るっているようですが、ここピサヌローク県は、現在までのところこの第二波での新型コロナウイルス感染者は発生していません。
おかげで、市内の飲食店やマッサージ店などほぼ通常通りの営業をしています。
メオダムお気に入りの「空飛ぶ空芯菜食堂」も、満員御礼。
ビールもいつも通りに注文できます。
いゃー、ピサヌロークにいて良かった。
年明けから続いた学校閉鎖も、すでに解除されて、朝夕は学校へ子供たちを送り迎えする車で渋滞します。
第二波の影響が出ているとすれば、タイで最も美しいと言われる仏像、チンナラート仏を安置するワット・プラシーラタナマハタート寺院の礼拝堂が立ち入り規制が実施されています。
礼拝堂の螺鈿細工で装飾された大きな扉は開放されており、チンナラート仏を参拝されたい人は、扉の外側から仏像を拝むことになります。
(この写真はコロナ以前に撮影したもので、礼拝堂内に参拝者がいっぱいいます)
さて、本日の話題はピサヌロークの新型コロナウイルスの話題ではありませんでしたね。
本日ご紹介するのは、スコータイ県サワンカローク市にあるストリート・アートです。
近年はバンクシーなど、ストリート・アーティストの作品が注目されるようになってきましたね。
タイでもときどき建物の壁や塀にスプレーで絵が描かれているのを見かけます。
無名のアーティストのモノもあるでしょうし、ただの落書きとしか思えないモノもありますが、今日ご紹介するのは、2019年9月にタイ政府観光局が周辺アジア諸国と協力して行った“Experiencing ASEAN POP Culture”というプロモーションの一環として、東南アジア各国からストリート・アーティストを招いて、サワンカロークの古い家並の壁に描かせたものです。
この作品は、マレーシアのツァイ・ケンジさんが描いたものです。
くすんだ古い町家の壁にありながら、鮮やかな色使いが、強い日差しに映えて、トロピカルな印象を与えます。
この絵のモデルは中国系の女の子でしょうか、このあたりは古くから華僑が多く住み商売をしていた場所でもあります。
しかし、大都会でエネルギッシュにビジネス活動をしているか華僑たちと違って、この辺りの華僑たちが住む街並みは、時代から取り残され、古い中国風の伝統的な生活の中で、半分眠っているようなたたずまいを見せています。
目を閉じている少女は、そうした街並みと共通しているように見えます。
頭の上の刺しゅうを施したような帽子の上には、龍が乗っています。
中国の伝説上の龍にも見えますが、東南アジア一帯にむかしから伝わる水を司る蛇神ナーガにも見えます。
手に持っているのはマンゴーのようです。
サワンカローク周辺はマンゴーの産地でもあります。
もう片方の手に持つ瓶からは植物が伸びていてチョうに舞うチョウとともに生命力を感じさせます。
瓶には犬の顔が描かれていますが、この犬のデザインがツァイ・ケンジさんのシンボルマークなのだそうです。
よく見ると、右下にも赤い犬のオブジェが置かれています。
でも、犬みたいですけど、なんだか龍のようにも見えますね。
この辺りの町家づくりの建物は、一階が商店や食堂になっており、二階が住居になっています。
建物は何軒もの棟割長屋のような構造で、建物横の妻の部分はレンガに漆喰を塗り、表側は木造です。
一階の部分に庇(ひさし)が伸びているのは、香港などのある広東省あたりの建築様式と共通します。
こちらはタイのチャクリット・タナンタクン(Jackkrit Anantakul)さんの作品で、抽象的なんですが、タイトルが付いていまして、“Love is here” となっています。
右手には魚が泳いでいるように見える部分は川なのでしょうか?
サワンカロークはヨム川のほとりにあり、100年前までは水運を使った交易で栄えた町でした。
とすると、この作品は地図なのでしょうか?
たくさんの文字によるメッセージも書き込まれています。
"LOVE YOU"、 "ETERNAL LIFE"、 "SAWANKHALOK"、、、
左手側はよりメッセージが多く書かれています。
六角形をした模様が描かれています。
これは何をイメージしているものでしょうか?
メオダムは、このあたりは華僑の古い風習が残っているので、中国伝統の占い"風水"から来ている「風水八卦」かと思いました。
色合いも陰陽を表しているように見えるし、、しかし、よく見ると六角形です。
風水八卦なら八角形でなければならないはずで、風水とは関係ないのかもしれませんね。
さらに、右下の空色に塗られた三角形の部分、大文字、小文字を散りばめて、少し長めのメッセージがあります。
LOVE is Patient
LOVE is Kind
it Does not ENVY
it does Not Boast
it is not Froud
どこかで見たような、、、
40年近く前、英語の授業で習った聖書の一説ではないですか。
「コリント人への手紙」第13章
Love is patient, love is kind. It does not envy, it does not boast, it is not proud.
愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。
こちらはカンボジアのアーティスト、ピープ・ター(Peap Tarr)とリサ・マム(Lisa Mam)の作品だそうです。
題材は、"Ramdul Flower"となっています。
この花はタイではラムドゥアンと呼ばれています。
チェンマイにあるカレー・ラーメン(カオソーイ)で有名な食堂の名前と一緒ですね。
それと、メオダムが今年の初日の出を見たルーイ県の山の名前もプー・ラムドゥアンでした。
このラムドゥアンという花、サワンカロークで見られる花だそうで、またカンボジアの国花とされております。
夜になると芳しい香りを放つと言われています。
メオダムはまだ香りを嗅いだことがないのですが、英語での名前を"White Cheesewood"と言うそうです。
まさか、カマンベール・チーズのようなニオイがするわけじゃないでしょうね。
箸を持つ女性が写実的に描かれ、白黒写真を見ているような印象のこの作品はシンガポールのアーティスト、Ceno2さんによるものです。
彼はシンガポールを代表するストリート・アーティストだそうですが、その作品はシンガポールではなく、シカゴ、ニューヨーク、ロンドンなどで知られているそうです。(ウィキペディアより)
メオダムはもう20年くらいシンガポールへ行ったことがありませんが、なんとなく、活動場所がシンガポールでないというのが理解できるような気がします。
そして、この箸を持つ女性、東南アジアのどの街にもいそうな庶民階級の中国系女性と言うイメージを受けます。
狭い台所兼食堂で家族とともにテーブルを囲んでいる表情でしょうか?
それとも、屋台で何かヌードルでも食べようとしているんでしょうか?
Ceno2さんの作品は、もう一つありました。
このストリート・アートが描かれている路地の長さは、だいたい100メートルほどなのですが、Ceno2さんの作品は、その両端に位置しています。
ムエタイ・ファイターでしょうか。
これから強烈なキックを浴びせようと跳躍している姿でしょうか?
それとも逆に、相手のキックを受けて倒れ込む姿なのでしょうか?
躍動感が伝わってきますね。
頭にはモンコンと呼ばれるお守りを巻いています。
そのモンコンの尻尾の部分が、下に流れているので、これは倒れ込む姿ではなく、飛び上がっていく姿なのだろうと、メオダムは理解しました。
これは刺青なのでしょうか、脇腹にはちょっとユーモラスな魚が描かれています。
この魚のデザインの起源、スコータイ時代にさかのぼります。
スコータイ時代の13世紀、タイ文字を考案したラムカムヘーン王は、石碑にスコータイがいかに豊かで平和なところをを示す「水に魚あり、田に米あり」を記しています。
そして、そのスコータイで作られた陶器、サンカローク焼き(スンコロク:宋胡録)は、スコータイ遺跡やシーサッチャナライ遺跡周辺に、窯跡が見られます。
サンカロークとはここの地名、サワンカロークと同義と言われており、くすんだ青緑色がかった灰色の釉に、濃紺の絵が入っている陶器が知られています。
そこに描かれた絵で、代表的な絵が、この脇腹に描かれた魚と同じデザインです。
このムエタイ・ファイターの描かれた壁は、洒落たアイスクリーム屋になっています。
他がどこも古色蒼然たる商店ばかりの中で、この店は唯一アンティーク風といったイメージの店です。
ここのアイスクリームでもなめながら、ストリート・アートの観賞など如何なもんでしょうか?
サワンカロークには、このストリート・アート以外にも国立サワンカローク博物館があり、クメール時代の出土品やスコータイ時代の仏像や陶器などを見ることができます。
バンコク航空が発着するスコータイ空港からなら、車で20分ほどです。
また、ピサヌロークからは車で1時間半くらいかかりますが、バスの便もあります。
この新型コロナ・ウイルスの関係で、昨年から運転中止となっていますが、バンコクからピサヌローク経由、サワンカロークまで直通の特急列車もあります。(「ありました」かな)
追伸
H.I.S.ピサヌローク支店のホームページ、メオダム・クラブのメニュー設定を新しくしました。
コンテンツの更新がしばらく疎かになっていますが、このところピサヌローク支店はお客様もなく、時間ができましたので、また少しずつ、ピサヌローク周辺の見どころ紹介などを書き足していこうと考えてます。
そして、メオダムは、タイでの第二波も月末くらいには下火になって、来月下旬くらいには再びタイ国内旅行が自由にできるようになると思っています。
タイへ駐在員やその家族として滞在されている皆様、タイの文化発祥の地であるスコータイやピサヌロークを、コロナ明けには是非訪れてみてください。
そして、この春帰任される方は、絶対に来てください。
ご帰国後、タイがどんなところであったか、バンコクだけではなく、いにしえの文化から見ていただけるようメオダム、いろいろとご紹介したいです。