サワディーにゃお!
ピサヌローク支店のメオダムです。
メオダムは昨日(6月13日)、ルーイ県ダンサイ村で行われるピーターコン祭りを見学してきました。
ピーターコンとは「オバケ祭り」として有名で、ダンサイ村と言う山奥の小さな村で毎年6月か7月頃に開催されるお祭りです。
ただし、今年も去年に引き続きコロナの影響で、大掛かりな観光イベントは中止となり、伝統的な儀式中心のお祭りとなりました。
そのため、派手さはないけど、素朴なピーターコン本来の姿を見ることができたように思います。
コロナ以上に残念なのは、お天気でした。
ベトナムの東方海上に台風(台風4号=コグマ)が発生し、インドシナ半島に上陸して、ゆっくりとタイ東北部方向に進んできています。
その影響で、ダンサイ村も朝からずっと雨模様。
ピーターコンのオバケたちは、恐ろしいお面を付けているのですが、根は陽気なオバケたちなので、本当はあんまり雨など湿っぽくて似つかわしくありません。
最初に出会ったのはハリボテのオバケです。
男と女のオバケがペアで、村人たちが太鼓や鐘などの楽器を打ち鳴らし、踊りを踊りながら先導されて現れました。
ピーターコンは大昔から行われてきたお祭りとされていますが、どうもその起源などのはっきりした由来はわかっていないようなんです。
一説では雨乞いの祭りとも言われていますし、災いをもたらす幽霊が、村人たちを守ってくれるようにとの願いから始まったとも言われています。
メオダムはこのハリボテのオバケの顔を見て、ピーターコンの由来は意外とインドシナの近現代史とも関係しているのではないかと思えてきました。
このオバケの顔、タイ人的な顔つきではなく、何となく西洋人的な雰囲気を持っています。
19世紀ころ、メコン川を遡ってきて、フランス兵たちが隣国ラオスを占領していきます。
当時この辺りの人は、西洋人など見たこともなく、フランス兵を恐れ、オバケとでも思ったのではないかと思ったりしました。
日本でも、秋田県男鹿半島のナマハゲの由来に関して、18世紀にシベリアから南下してきたロシア人を当時の人たちは「赤蝦夷(あかえぞ)」と呼んで、恐れたのが発祥と言う説もあるようだし、それと似たようなことが、こんな寒村でも起きていたのではないかと、想像してみました。
例年だと、この村は周辺の集落からたくさんのピーターコンに扮した村人たちが集まってきて、大騒ぎになるのですが、今年はだいぶ状況が違うようです。
例年、村のメインストリートにはあふれるほどの観光客とオバケの熱気が充満していたのですが、この日のメインストリートは、そぼ降る雨に人通りもまばらです。
お昼時に、この村にあるツアーでも利用するレストランで食事をしようと向かったのですが、レストランは営業していませんでした。
仕方なく、市場の近くにある大衆食堂でタイ風のパパイヤサラダ、ソムタムとカオニャオと呼ばれるモチ米を食べました。
その食堂の壁にもたくさんピーターコンのお面が掛けられています。
このダンサイ村は、ピーターコン祭りを中心にして回っているような村なので、このような寂しいピータコン祭りになってしまうと、村の経済に与える影響は計り知れないのではないかとメオダムは心配になってきます。
なお、このピーターコン祭りの会場であるお寺(ワット・ポーンチャイ)では、お祭りに来た人たちへ食事を提供していました。
食べさせてくれるものは、カノムチーンと呼ばれるタイ風の素麺やソムタムなどで、村の人たちが学校の給食のようにして食べていました。
メオダムもここでオスソワケにあずかれば良かったかな。
ほんとうは、タイのお寺の境内でビールなどアルコール飲料を飲むことは禁止されているのですが、オバケたちは例外のようで、ピーターコンは大きな菩提樹の木の下で、雨宿りしながらビールをクビグビやってました。
午後になって、雨脚もちょっと強くなり、少し風も出てきました。
巨大なピーターコンのオブジェの下では、3匹のオバケたちが雨宿りしていました。
お寺の外でも、少しずつピーターコンの姿を見かけるようになってきました。
ほんとうなら、こんなピーターコンが朝から村中を徘徊しているはずなんですが、今年はオバケの絶対数が少ないようです。
それでも、午後3時近くなると、急にお寺へやってくる人たちが増えてきました。
お寺の門の前では、おそろいのユニフォームを着た検疫係が並び、来場者の体温測定をしたりして健康チェックをしています。
健康チェックでは、QRコードを読み込んだり、訪問台帳への記載を求められることもなく、バスすれば手のひらにアルコールジェルを垂らしてくれて、入場OKです。
ねずみ色したピーターコンも、まさしく濡れネズミになってお寺への階段を登ってきます。
そんななか、お寺の太鼓が打ち鳴らされて、パレードが始まるようです。
今年は規模を縮小し、伝統行事のしきたりにのっとってのパレードです。
先頭には村人4人が担ぐ輿に乗った仏像、そして同じく輿に乗った黄衣の僧侶が読経しながら続きます。
いえ、たぶんメオダムは僧侶が読経していると想像しただけで、お経の声は聴こえていません。
なんたって、お寺の境内は調子っぱずれで陽気なタイ東北部のイサーン音楽が巨大なスピーカーからガンガン流れてきているのです。
僧侶に続いて、白装束の男性です。
この男性は、このダンサイ村の祈祷師で、ピーターコン祭りを仕切っている人です。
この祈祷師はチャオポー・クワンと呼ばれていて、オバケの世界とお結ぶ役割をし、オバケたちのお告げを村人に伝える役をしています。
なんだか、恐山のイタコみたいですね。
この祈祷師が乗っている輿は、木の棒を組んだもので、たくさんの男性によって担がれています。
この輿の上から、祈祷師は金色の鉢に入った造花を掴んで、投げて回ります。
その造花を村人たちが、争って拾い合います。
きっと、ご利益があるのでしょう。
でも、祈祷師さん、アゴマスクですね、、、。
祈祷師の後ろからはピーターコンたちも続いて、お寺の礼拝堂の周りを時計と反対周りにグルグルと3回練り歩きます。
そして、ピーターコンたちを外に残して僧侶や祈祷師たちは礼拝堂の中に入って行きました。
礼拝堂の中では、きっと神聖な儀式が行われているのでしょう。
ピーターコン祭りは仏教行事とされていますが、祈祷師やオバケなど精霊信仰(シャーマニズム)の部分も多いようです。
礼拝堂に入らず、外に残されたピーターコンたちはイサーン音楽に合わせてお寺の境内で踊っています。
ピーターコンのオバケたちはやっぱり陽気な連中のようです。
と、キューーーーーンと突然に天を突くような轟音が聞こえてきました。
まるでジェット戦闘機が低空飛行でもしたような轟音です。
そしてまた、キューーーーンと続きます。
そらを見上げると、雨雲に向かって一直線に高速で飛んでいく飛行物体。
ブン・バンファイと呼ばれるタイ東北部の祭りで有名な竹製ロケットのようです。
竹竿の中の火薬を詰めて、打ち上げるハンドメイドなロケットで、お寺の裏側から次々に空へ向かって打ち上げています。
小型のロケットは地上から打ち上げます。
シュゥゥゥーッという音とともに、もうもうたる白煙を残してロケットは飛んでいきます。
さらに大型のロケットは櫓を組んで打ち上げます。
爆音の迫力で手ブレしてしまいました。
今年のピーターコン祭りはコロナと雨に見舞われてしまいましたが、しかし、伝統行事の部分をしっかり見ることができたと思っています。
僭越ながら、メオダムもピーターコンになってみました。
来年こそは、もっと晴れやかなお祭りを楽しみたいと思います。
ダンサイ村へはピサヌロークの市内から150キロメートル、車で約2時間半の場所にあります。
お祭り以外の時期でも、ワット・ポーンチャイ境内にはピーターコン博物館があり、ピーターコン博物館のお面などを展示しています。