いつもご覧頂きありがとうございます。green traveler編集長です。

3月末に震災支援ボランティアをされた知人の亜細亜大学教授の小林先生からの現状のレポートを頂きました。震災後の復旧・復興のため多くの人の支援と協力が必要だとのことです。
災害支援の一環として、ボランティアや支援協力のご紹介を当ブログでもさせて頂きます。
これからボランティアの参加などご検討されている方、とても有意義な生の情報ですので参考にしてください。

以下、そのまま転載します。

【現地レポート】
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一部を除き、基本的なライフライン(水、食料、電気など)は確保されてきた。自衛隊などにより主要な道路もつながり、ガソリンも供給されている。ボランティア活動も少しずつ勢いを増しつつある。3月末現在、死者は1万1532人、行方不明1万6441名、避難者17万4237人(毎日新聞まとめ)となっているが、現地の話では役場が住民台帳もろとも消えたり、家族全員が遭難しているケースもあり、正確な被災者数はとても把握できる状況にない。したがって死者と不明者の実数は現状をはるかに上回るものと予想されている。

現在民間のボランティア活動団体として、幅広いネットワークによる運動を展開中の「RQ市民災害救援センター」の一員として、現地を歩いてみた。RQは全国にある60以上の様々なNPOや組織が、それぞれの得意分野から人・物資・資金・ノウハウを出し合い、ゆるやかな連携を保ちながら、いち早くきめ細かな救援活動を展開した運動体である。今回の復旧・復興のため3月13日に立ち上げられた。野外活動、医療、情報、教育、そのほか多くの分野の専門家たちによって構成されている。たとえばヘリによる空からの医療支援を行う基金を設立している団体もある。学生や公務員という立場からの参加も多く、文科省や総務省の「東日本大震災支援全国ネット」(JCN)とも連携中。アウトドアメーカーのモンベルも、多くの物資をRQに供給している。

RQ運動の中核を担っているのは、全国の環境教育や野外活動諸団体を代表する「日本エコツーリズムセンター」(通称エコセン、代表は広瀬敏通)。RQには諸外国との交流をもつメンバーも多く、現在日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語などによるホームページを準備中で、対外的略称はRQ-CNJ。

 ホームページとともに、今後海外からの義捐金を受け付けるための送金口座も開設する。すでに中国のある団体から100万元の義捐金寄付という話も寄せられており、RQ全体を奮い立たせている。ホームページ上でRQ-CNJの活動状況がよく理解されるようになれば、世界各国からの同様な申し出が増えるだろう。赤十字経由の募金が自治体の規模により機械的に振り分けられ、「使途について被災者の手元にどのようにわたったのかわからない」。そんな募金方法を好まない外国人が多い、というのも海外の情報通の話である。


現在の活動状況はエコセンのホームページを参照して欲しい。http://rq-center.net/


【ボランティア活動の現状】

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RQの現地支援本部(宮城県登米市、旧鱒渕小学校体育館)

現在は廃校となってしまった登米(とめ)市の鱒渕小学校体育館に、RQの現地本部がある。全国からの

ボランティアたちは、毎日入れ替わりはあるものの、常時60名ほどがこの体育館内にテントを張り、各地

から送られてくる救援物資とともに寝泊まりしている。ここをベースとして、現在は北の岩手県大船渡市か

ら南の宮城県女川町まで、距離にしてざっと120Kmの海岸地域をカバーし、各地に支援物資を配達して

いる。


登米の場所は、福島第一原発からは130Km北に離れている。原発にこれ以上とんでもない事態が起こら

ない限り、放射能の影響を心配する必要はない。仙台からまっすぐ北へ50Kmに位置しているが、さらにも

う75Km北上すると岩手県の遠野市に至る。東北自動車道は築館インターチェンジで下りて東に30分あま

り、仙台からは1時間と少し。


現地本部は、総務、仕分け、配達、情報、賄い、などのチームに分かれ、それぞれがきめ細かなコミュニ

ケーションをとりながら、寒い中にもかかわらず、懸命に業務をこなしている。雰囲気はなごやかである。

朝の起床は6時、朝食後7時半からミーティング、8時には活発に1日の活動が始まる。配達部隊は自分

でもってきた車(常時15台前後)で、各地の被災者に物資を届けている。そして訪問先で被災者から話を

聞き、次回訪問に必要な物資のリストも記入する。モノを届けるだけでなく、老人や子供たちとのコミュニ

ケーションも彼らの大事な仕事だ。夕食は6時半、7時半ころには夜のミーティングがある。すべての現場

業務は、若者たちの自主的運営に任されている。ボランティア3日目の女子学生が、朝晩のミーティング

で声を張り上げ、堂々指示を出していたりするから不思議なほどだ。


今後早急に、登米の本部からいちいち往復しなくていいよう、海岸部5~10か所にサテライト・キャンプを

設置する計画が進行している。文字通り「ハブ・アンド・スポーク」というロジスティクスの形態をとる。サテ

ライト・キャンプは各地の使用されていないドライブインの建物を利用させてもらったり、あるいはトレーラ

ー・ハウスを空き地に設置することもあるようだ。ここに通信機器を置いた事務所を構え、数人が寝泊まり

し、物資の集散機能を持たせる。よりきめ細かな、しかも効率的な支援活動態勢が敷かれることになる。


支援はこれから徐々に「モノからヒトへ」と移行してゆく。いつまでも生活物資を補給していたのでは、逆に

地域の健全な経済活動を阻害することにつながってしまう。お年寄りのケア、被災された方々との対話、

子供たちと一緒に遊ぶこと、医療支援、そして被災地の後片付けなどへ、活動の実態が移行してゆくだ

ろう。人手はいくらあっても足りない。大学生たちの活動参加がもっとも期待される分野である。



【ボランティアたちの生活】

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基本的に、ボランティアはすべての装具、備品ともに自前で用意しなくてはならない。初動機には、彼ら

自身の食料もすべて日数分、自分で持参した。被災地の乏しい食料を、ボランティアが奪ってしまうこと

のないようにという配慮からだ。今はRQ本部が北海道から食材を仕入れ、毎日60人分の食事を賄い班

が炊き出している。ボランティアの多くは、マイ箸、マイカップなど自前の食器類を持参しているが、共用

の皿やどんぶりもあり、必ずしも皆が持ち込む必要はない。また食べ物を残すなどはもってのほかであ

る。


宿泊は体育館の床に毛布を敷き、そのうえに寝袋に入って、ごろ寝である。運がいい時は、1人、2人、3人用などのテントにありつける。知り合いや同性同士が「同室」となる。鼾があちこちから響いてくる。現在は寝袋や毛布などは必要な分をRQ本部が貸し出してくれるので、これらをもっていない人たちでもわざわざ購入する必要はない。十分に暖かい下着から、汚れてもいい丈夫で動きやすいアウター上下までを、必要な分持参する。軍手、丈夫な運動靴か、底が頑丈なゴム長、耳まで覆う毛糸の帽子、ネックウォーマー(首巻)などは必需品である。夜は気温がマイナス10度近くまで下がる。昼でもプラス10度前後のことが多い。4月以降暖かくなるであろうが、十分な防寒対策に越したことはない。


風呂はない。着のみ着のまま1週間、などという人もいる。普通は4~5日でいったん帰り、また出直してくるというボランティアも少なくない。社会人は週末の2~3日という人が結構多い。もちろん地元の住民、中学生や高校生たちもやって来る。できる人が、できる範囲で、無理なく協力しているのである。毎日2割ぐらいの人数が入れ替わっている。たまに1~3か月という人もいるがごくわずか。だからRQでは数日も働けばベテランである。皆じつにスムーズに業務を引き継いである。RQもようやく総務機能がしっかりしてきており、1週間働いた人は1日温泉にバスで連れて行ってもらえる、というシステムも出来上がった。すこぶる人気が高い。


【ボランティアの心構え】

Volunteerというのは志願兵の事である。すべて自分の責任において、兵役に従事する。ここから社会貢

献の運動などに自らの意思で参加する人のことを、ボランティアと呼ぶようになった。だから今回のRQに

参加する場合も、当然すべてのリスクを自分で負う覚悟がなければならない。怪我、事故、病気など全部

だ。もちろん活動にかかる経費の一切。車やガソリン、交通費、装備、食事代、通信費、保険、その他。

ただし先述のようにRQでは、食事は原則的に1日3食無料で提供されるようになった。だから個人的な嗜

好品やお菓子などを持参すればいい。飲酒は一般的には控えられている。喫煙も同様。さらに救援活動

にふさわしくない派手な身なり、化粧なども控えるしかない。自分が行った時も女性は全員が完全ノーメ

イクだった。顔だってまともに洗えないのだから当然である。長くいる男子学生が首にタオルを巻き、洗面

器に張った氷を割って頭に水をざぶっとふりかけ、ゴシゴシ髪をこすっていた。エライと褒めたらにっこり笑

った。


ボランティアの心構えの中でも重要なことは、「何かしてあげた」という気持ちを持ってはならないことだ。

相手から「ありがとう」と言われてはじめて、ボランティアの仕事は評価されたことになる。自分が評価す

るのではない。相手の喜びが、ボランティアの喜びとなるであろう。



また「元気な挨拶、明るい笑顔」はボランティアにもっとも求められる、最低必要条件である。見知らぬ相

手に、ボランティア同士であっても、こちらからにっこり「おはようございます!」と呼びかける。被災地で出

会う人々には言うまでもない。笑顔と元気さそのものが相手を元気づけ、また同時に自分をも元気づける

のだ。これができなくては、ボランティアとしては失格に近い。自分を励まし、こちらから大きな声で呼びか

けよう。それは必ず報いられる。けっして恥ずかしがる必要はない。


マハトマ・ガンジーは「There is enough for everybody's needs, but not enough for everybody’s

greed.」と言った。世の中には人々が必要とするものはちゃんとある。ただし人々の貪欲を満たすほどは

ない。震災のボランティア活動ではこのことを強く実感するだろう。つつましさや寛容は、ボランティアにと

ても必要な心構えである。

またボランティアは、指示待ちであってはならない。自分から動く。どうしていいかわからなかったら、こち

らから尋ねよう。また、自分の手が空いていたら、「何かお手伝いすることはないですか」と、声を上げよ

う。現場ではお互いにそんな声を出し合っている。ボランティアは命令されて動くものではない。自分から

気を働かせて、さっさと動く。ぼんやり待っていると、どんどん孤立し、見放されてしまうであろう。


各ボランティアは首から下げる写真入りIDをもらう。しかし名前までは読み取りにくい。そこで、布製ガム

テープに自分の名前やニックネームをマジックで大きく書き、胸に張ることを勧める。相手から気安く声を

かけてもらえると同時に、こちらからも声をかけやすい。


【ボランティアが用意するもの】 

 1)防寒具、2)温かい下着2~3セット、3)手袋=丈夫な掌の方にゴム引きの軍手など、4)しっかりし

た運動靴あるいは、底のごつごつした丈夫なゴム長、5)耳まで覆う帽子、首に巻くウォーマー、6)おや

つ、飴玉、チョコレート類、7)ビタミン剤=栄養のバランスがくずれがちになる、8)手ぬぐい、ティッシュペ

ーパー、あるいはウェットティッシュなど。もちろん近辺にはコンビニなどはない。そのほか出発までの支

度については、エコセンのホームページを参照のこと。


【ボランティア申し込み先】

詳しくは「RQ災害支援救援センター」へお問い合わせ下さい。
http://rq-center.net/
現地登米の本部や各サテライト・キャンプにすでに十分な人数がいるときは、何日か待たされることがある。




なお文科省は全国の大学に対し、「3・11震災に対するボランティア活動に従事する学生には、単位の振り替え認定をするよう」要請したという。学生たちがボランティア活動、勉学、アルバイトに、それぞれ時間の合理的な有効活用ができるなら望ましい。

以上


H.I.S.エコツーリズムデスク
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