いつもご覧頂きありがとうございます。green traveler編集長の鮫島です。


先月のゴールデンウィーク時に私たちgreen travelerメンバーが清掃活動でお邪魔した岩手県田野畑村。(体験レポートはこちらを参考にしてください:http://ameblo.jp/his-eco/theme6-10033397894.html#main
ワカメ・コンブなどの水産業、海のアルプス「北山崎」などの景勝地を活かした観光業を生業とする小さな村です。周辺の大打撃を受けた宮古市など同様に田野畑も大きな被害を受けました。小さいこともあってメディアで取り上げられることも少ないのですが、小さい分、その影響は大きく、復興にも多くの障害があることを実際に行って実感したものでした。
“自然を楽しむ”エコなブログ-北山崎

海のアルプス北山崎(陸中海岸国立公園)


先週、ふと気になり、一緒に清掃活動をした地元の方に連絡したところ、4階まで津波で被災した村唯一のホテル「羅賀荘(らがそう)」は、未だ営業再開のメドも建たないまま、やむを得ず従業員全員解雇(約60名)したそうです。名物観光であった断崖絶壁の海岸線を地元漁師と巡る「サッパ船」も津波もろとも流されてしまいました。そうした観光収入を得る術を完全に絶たれてしまい、村の産業基盤が崩壊したままというのが現状です。

“自然を楽しむ”エコなブログ-未設定
朽ちた羅賀荘の文字が津波の威力を物語っています。
“自然を楽しむ”エコなブログ-未設定
ホテルの大浴場も津波が流れ込んだ跡が。

そうした現実を目の当たりにし、今一度、東北の現実を知り、少しでも未来に明るい希望を照らすために何かできないかと考え抜いた答えが、今日発表したツアーです。


●岩手三陸海岸復興支援活動&観光コース「今こそ東北へ行こう5日間」

ツアー内容:http://www.his-j.com/tyo/eco/japan/eco-hotoku_vol8.htm

今日から3回に分けてツアーの内容を通じて、東北の現状をお伝えしていきます。

第1回の今日のテーマは、「なぜ田野畑か?」です。


東北と一言で言っても、実際にはたくさんの被災地がありますが、ここ田野畑は、エコツーリズムを掲げる私たちととても関係が強いことが理由のひとつでした。

番屋エコツーリズム」って聞いたことあるでしょうか?

「番屋」とは本来、冬に人の引き上げた後、漁場を管理する必要から越年して滞在するための番小屋のことを言いました。これがのちに漁夫の寝泊りする漁場施設を指して呼ぶようになります。机浜という入り江に現存していた25棟の建築群は主に漁具の収納やワカメ、コンブの乾燥作業場を目的にしたもので、漁期で忙しくなると番屋に泊まりこみで作業を行っていました。もともと社会環境整備や車の普及、漁業後継者不足で番屋の遊休化、廃屋化が進み、急速に漁村文化が失われようとしていましたが、地元の「机郷友クラブ」による保存・継承活動が元で、平成18年水産庁の「未来に残したい漁業漁村歴史文化財百選」に選ばれ、貴重な漁村の原風景をとどめる所となり、「番屋エコツーリズム」として観光資源として活用しながら保存活動を行っていましたが、そうした努力も含めて番屋もろとも津波で一掃されてしまったのです。

“自然を楽しむ”エコなブログ-番屋津波前
津波前

“自然を楽しむ”エコなブログ-番屋津波後
跡形もなく流されました。同じ場所とは思えません・・・

失われようとしていた漁村文化の象徴を観光を通じて保存しようとしていたのが「番屋エコツーリズム」だったのです。具体的には、番屋での漁師の指導で漁師料理作り体験や漁師自らガイドをする取り組みを漁師と共に長年かけて築き上げてきましたが、そのシンボルであった「番屋」と「サッパ船」が津波で流されてしまい、漁業従事者は将来の津波の考えて同じ場所での建替えも自粛しているそうです。

“自然を楽しむ”エコなブログ-サッパ船
“自然を楽しむ”エコなブログ-サッパ船
断崖絶壁の景観と漁師のガイドが楽しい「サッパ船」アドベンチャーズ


地元でこの番屋エコツーリズムを担っていたのが、NPO体験村・たのはたネットワークです。番屋での体験のほか、地元漁師がガイドする北山崎など断崖絶壁を遊覧するサッパ船観光『サッパ船アドベンチャーズ』などの取り組みを行っていました。とても人気があったのです。そして、今、「サッパ船」は7月末復活を目指して奮闘中とのことでした。

“自然を楽しむ”エコなブログ-未設定
NPO体験村たのはたネットワークの皆さんと私たちが一緒に清掃活動した時の様子(2011年5月)


同じエコツアーを取り扱う仲間として、ぜひ復活してほしいという願い、それが「田野畑」を取り上げる理由です。

今回のツアーでは、復興支援活動として、番屋群や北山崎周辺の清掃活動を行います。

“自然を楽しむ”エコなブログ-未設定
5月に私たちが行った清掃活動の様子(2011年5月)


また、今回のツアーではもうひとつ大切なお知らせが。
●ツアー参加者には「復興の証」として、三陸ワカメが届きます。
村の主要産業のひとつであった「わかめ養殖」ですが、津波で完全に被災してしまいました。復興しようと頑張っているわかめ生産者を応援するためにツアー代金の一部をわかめオーナー制度に充当します。来年の春に「復興の証」として震災後「初わかめ」を生産者より1kg相当をお届けします。シャキシャキして旨みのある三陸わかめを通じて、支援活動後も関係性を保ち、応援し続けたい皆様の気持ちを反映させるべくこのような仕組みを取り入れました。
“自然を楽しむ”エコなブログ-わかめ漁

今回のツアーを開発するにあたり、下記のコンセプトを大切にしました。

①ツアーに参加すること自体が復興につながる

②ホスト(現地)・ゲスト(ツアー参加者)共にハッピーである

③希望が夢があること


今回のツアーは、地元の多くの関係機関の協力の上に成立しています。東北の人々は、みなさんが実際に足を運んで、東北の現実を見て、そして楽しんでいただくことを心から望んでいます。


もし、共感していただいた方は、ぜひツアーにご参加していただければとってもうれしいです。また、共感はしたけど自分は行けないからと言う方は他の方にぜひオススメしてください。

明日は、ツアーで訪れるこの時期ならではの東北の観光スポットについてお伝えします。


H.I.S.エコツーリズムデスク
五感にチャージする大自然エコツアーclover

PC:http://www.his-j.com/tyo/eco/top.html

復興支援&観光ツアーはこちら:http://www.his-j.com/tyo/eco/japan/eco-hotoku_vol8.htm



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