いつもご覧頂きありがとうございます。green traveler編集長の鮫島です。
屋久島を訪れる年間を通じてこの8月が最も入島者が多い月です。まさにこれからピークを迎えます。
意外かもしれませんが、中でも人気の「縄文杉」には多い時で1日1000人の登山客が押し寄せています。7~8月であれば少ない日でも500人はいます。夏の縄文杉は「屋久島の深い森で静かに太古の老木と対面・・・・」というわけにはいきません。
連なる人の登山渋滞、トイレ待ちの行列といった「混雑」が夏の縄文杉の現実です。しかも登山道が一本道で、片道10kmという行程のため、日帰り登山のため(早朝出発)->(昼に縄文杉到着)->(折り返し)というパターンに集中してしまうのです。混雑を避けるには、宮之浦岳登頂し、そこから縦走して新高塚小屋という避難小屋に泊まり、早朝縄文杉と対面するという方法はありますが、上級者向けのプランなので、多くの方には向きません。
●環境省が縄文杉の混雑予想カレンダーを出していますので参考にしてください。
http://www.env.go.jp/park/kirishima/ywhcc/tozan/kaitekic.htm
●縄文杉混雑状況の写真 混む日は本当に雑踏です。
http://kyushu.env.go.jp/pre_2009/data/0224a_4.pdf
それでも「縄文杉に会いたい!」というのが本音でしょう。
混雑の中でも、屋久島の自然をより楽しむ方法はないのか?そんな時にガイドの存在が威力を発揮します。
ガイドは、単に道先案内人ではなく、一緒に歩きながら様々な価値を提供しています。
●自然観察による新発見
あなたはとにかく「縄文杉」を目指して足元を向いて山道を歩いています。そんな時、ガイドがこんな話をしてくれます。
★「ちょっと待ってください。ほらシカがこちらを向いてますよ。夏毛に生え変わってますね。ところで、屋久島には熊、イノシシはいないのですよ。タヌキも元々はいないはずなんですが、外から持ち込まれたせいもあって最近出没しています。」
★「ちょっと待て下さい。ほら、このコケの中に小さな花が・・。コケスミレといいます。ツメより小さな花なのでなかなか気付かないのですが、でもこのあたりは、よく自生している場所なんです。どうぞ写真とって下さい。」
★「この木、触ってみてください。どうですか?ヒンヤリ冷たいでしょ?これはヒメシャラといいます。屋久島の森ではよく見かけます。木の皮がなく保水できないので常に水をポンプのように循環させているからです。雨が多い屋久島だからこそ生きていける植物なんですよ」
★「このコケよく見てください。どこに生えてますか?枯木の上ですよね。周りに土はありますか?ないですよね?実は屋久島の森には土があまりありません。植物は屋久島の雨で十分に水分を含んだ枯木の上に新しい植物の芽が出て、そして枯れて、またその上に植物が育つ、そんな循環の上に植生が成り立っています。」
これはガイドがご案内するほんの一部です。
一般的に言う「登山」と「エコツアー」の違いはココにあります。登山がひたすら目的地を目指す「運動」であるのに対して、私たちが提供している「エコツアー」は「自然を理解すること」を重視しています
。
車両規制により登山道までシャトルバスが出るようになったため、最近は縄文杉もガイド無しで個人で挑戦する方が多くなりました。しかしわたしは残念に思います。縄文杉に会うことだけを目的に登ることは悪いことではありませんが、とても「もったいない」と思うのです。屋久島の植生や生態系、そして登山道の各スポットの魅力を心得ているガイドが教えてくれる新しい発見は、きっとあなたの想像を超える世界を提供できるからです。自分自身のフィルターからモノを見るよりはるかに、自然ガイドが自然の通訳者(インタプリター)として皆さんの隠れていた好奇心を呼び覚ますことができるしょう。縄文杉がなぜそこに今でも立っていられるのか、屋久島の自然とのつながり、そして私たち人間のとの関わりを知らずして屋久島を離れてしまうのは、わたしは「もったいない」と思うのです。
自然は自ら語りかけることはありません・・。 ただ、目を開き、耳を傾け、五感で触れ、理解しようとする人には、今までになかった新しい世界、喜び・元気を与えてくれます。皆さんの心構え次第、そしてガイドの存在が「せかっく訪れる屋久島旅行を失敗しない方法」だと私は思うのです。
●屋久島ツアー一覧:http://www.his-j.com/tyo/eco/japan/yakushima_index.htm
H.I.S.エコツーリズムデスク green traveler
五感にチャージする大自然エコツアー