アート:建築 2008.03.06

何を作っている会社かというとカネです。

お金dollarを鋳造しているのではありません。

鐘です。BELLです。bell 鐘屋です。

その名も〝WHIHTECHAPEL BELL FOUNDRY 〟



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なぜタテブロがこのような会社をフィーチャーしているかといいますと、そうお察しの通り、イギリス最古の製造業者というだけあって建物が古くListed Buildings Grade Ⅱ(Listed Buildingsについてはコチラ! をクリック)の建物であるからなのです。世界最古ではないのにギネスブックにも掲載されているらしい。何故

そー思って調べているうちに、この一見なんの変哲もない会社、建物が古いだけではなくタダモノではないことが分かってきました!


 

  会社が設立されたのはなんと1570年sign01 エリザベス1世crownによる治世の頃。

  天下分け目、関が原の戦いからさかのぼること30年のお話。そしてその100年後の1670年に現在の場所に移ってきたようです。以来、27人もの君主の時代をくぐり抜け、発展著しいEast Londonに昔の面影を残しています。

  ここはもともとArtichokeというCoaching Inn、馬車の宿、まぁ旅籠みたいなものだった建物。 残念ながら建物そのものがいつ建ったかは正確なところはわかりませんが、少なくとも築330年はけい経過しているという計算になるのでスケールの大きい話です。


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建物の側面 結構奥行きがあります。     正面入り口隣の扉


イギリスのこういう古い建物にはいろいろ気になるものがあります。


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Scraper(スクレイパー) 入り口にある靴底の泥落とし。

いろいろな個性のある装飾がほどこされています。左が、外置きタイプでポピュラーなもの。右は壁埋め込みタイプ。建物の側面入り口にありました。



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使用意図がよくわからない金具 ダブルとシングルあり。

建物正面の壁に打ち込んでありました。高さが馬の背丈くらいの位置にあるので手綱を結んでおくためのものとか、Coaching Innの頃の名残かと思ったのですが、その割には塗装は比較的新しいので現役で使用されているのでしょうか???どなたか何かご存知の方お教えください~!


 さてさて、この会社、何がタダモノではないか。

 BELLときいて、なんとなく自転車のベル、非常ベルなど日本語で言うと小さいもののような感じがしませんか?

 実際この会社ハンドベルなども製造していいます。、そんなことより実はロンドンの教会の鐘のほとんど、そして国内、世界各地の有名な教会の鐘はこの会社によるものと言っても過言ではないほどのシェアを誇る会社なのです。

 ウェストミンスター教会セントポールなどのそうそうたる面々は言うに及ばず、なんとあのビッグベンの鐘もこの会社よるものなのです!


WM ABBEY BIG BEN

ウェストミンスター教会 Clock Tower,Place of Westminster 通称Big Ben  

 国内ではリバプール大聖堂、カナダのモントリオール教会、アメリカではワシントンDCのナショナルカテドラルなどもこの会社の製品の金を使っています。

ビッグベンの鐘はこの会社が鋳造したもののなかで最大もので重さ13.5トン!しかも中のハンマーが重すぎて鐘にひびが入ってしまったのがビッグベン独特の鐘の音になったとの事。


LIVERPOOL CHC DC CHPL
リバプール大聖堂          ナショナル・カテドラル    


 個人的に面白いなぁと思ったのは、この会社のHPにカネの値段リストがあるのです。

 冒頭でも記述しておりますがdollarではなくの料金表です。  

 リストによれば、最小のもので鐘の一番上の部分の直径が3 1/4インチ(約8.25cm)、底面が8 1/2インチ(約21.6cm)、重さ39kgのもので£1,610(約¥335,000)、大きいもので鐘の一番上の部分の直径が18インチ(約46cm)、底面が48 1/4インチ(約1m23cm)、重さ4.5tのもので£39,109(約¥817,000)。

 高いのか安いのか全く持ってわかりませんが、コレだけ世界シェアを誇る会社ですので、これがグローバル・スタンダードなのでしょう。


 そして特筆すべきはアメリカ独立宣言のシンボル、初代〝自由の鐘(Liberty Bell)〟もこの会社によるものなのです!


LIBERTY BELL


  初代と書いたのは。この鐘1752年にペンシルベニア州議会堂に取り付けられる目的でイギリスから届き、なんと一発目でヒビが入ってしまったらしい・・・先ほどのビッグベンといい、どーなの、この会社の鐘???

  そのため1776年7月4日の独立宣言時に鳴り響き、独立宣言書を朗読するために人々を集めたのはアメリカで鋳造されたものではあります。


 この世にも珍しい会社、やはり歴史的価値が高いらしく、偶然ローカルのWalking Tourのグループに遭遇しました。これを盗み聴きするのは観光を生業とするものとして、とても気が咎められ、こそっとその風景だけ耳をふさぎながら撮影させていただき、そそくさと退散しました。

 このツアー、公認のブルーバッジガイドが行っており、ざっと見積もって50人位の人が集まるほどの人気でした。


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この会社、月2回ランダムに決められた土曜日に社内ツアーも行っており、事前予約要。なかなかの人気の模様。興味がある方はコチラ から予約してみては???

 ちょっとタテブロじゃないんじゃない、と思われるタテモノ以外の内容でしたが、好奇心をくすぐられれば書かずにはいられないのもタテブロなのです。

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Text by Maggie

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