パブというからにはビール

 そしてイギリスビールといえばなんと言ってもエール!

 日本人にはあまり馴染みの無い種類のビール。

 イギリスのビールはぬるいって話を耳にしたことはありませんか???


 このエールがその正体。日本で飲まれているラガータイプのものとは種類が違います。

 エールとラガー、何が違うか簡単にいうと酵母が違います。エールは15度から24度の常温に近い温度で発酵する酵母をつかい、液体の上面で発酵するため上面発酵といわれます。一方、ラガーは低い温度で液体の底面で発酵するので底面発酵と言われます。

  歴史的には全然エールのほうが古いのですが、世界的にみると主流はラガー。量産、運送に向いているのがその理由。

  ここイギリスでも現在は主流はラガー。ウェザースプーンでもSuperchilled 1℃-3℃!のように常に冷たいラガーを提供していることを宣伝文句にしてます。

 

  しかししかし紀元前6世紀にさかのぼる、古代エジプトからの歴史をもつビール。そんな頃に冷蔵庫があるはずもなく、元来ビールは常温でたしなまれてきたもの。原料を同じくするスコッチがそうであるように、冷やすことで失われるアロマと味があると言われています。赤ワインも普通冷やさないですよね?


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暖炉のあるパブ

  そしてウェザースプーンはラガーもかなり販売促進している一方、本格エール(Real Ale)が飲める!というのもウリのひとつ。そして1970年代からのReal Ale復興を主目的としたCAMRA(Campaing for Real Ale)という団体の最大支持団体でもあります。

 そしてウェザースプーンの店舗ではチェーン店でありながらカスク・マーク(Cask Marque)という伝統的手法に則った、樽内熟成無ろ過無殺菌(cask conditioned)エールを取り扱うパブのみに付与される資格を取得しており(その数650店舗以上!)、どこでも、しかもその地域の本格エール(地ビール)が安く飲めるのです!


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これがカスクマーク


 福岡では〝長浜〟と書いてあればたいしたこと無くてもそれなりにラーメン屋として安心され、イギリスではB&Bと書けば、単なる安宿も予約が入るように、Cask Conditionedと書けば流行のパブとして成功するであろうという思惑からリアルエールで無いにも関わらずCask Conditionedを謳っているパブもすくなくありません。それを見分けるひとつの基準がカスク・マークなのです。

  

  パブに行って、エールを飲みたいけど銘柄もたくさんあり、どれを飲めばいいか迷うでしょう。

一口にエールといってもたくさんあります。ペールエール、インディアンペールエール、ブラウンエール、ダークエール、ライトエール、アイリッシュレッドエール、ベルジアンエール、ジャーマンエール、スコッチエール、オールドエールなどなど。そして各ブリュワリーがいろいろな銘柄を出し、パブにはそのパブオリジナルのエールなどもあるものだからその数は無限・・・。

  

 何を飲むかはさておき、まずはラガーとエールの見分け方。カウンターにあるタップの形が違います。

 ラガーはどこにでもあるスイッチひとつで炭酸ガスと混ざって出てくる誰でもちょっとしたコツさえ覚えれば入れることができるレバー式のもの。

 エールは、ポンプでくみ上げる方式がほとんどなので、3~4回一生懸命汲み上げる。女性なんかはかなり大変そう。というのも樽に入ったエールを汲み上げているからで、この動作をDraftといいます。ドラフトビールとは本来ココから来ていて、日本で言うドラフト=生とはちょっと違います。


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ハンドポンプ 外側から


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ハンドポンプ カウンターの中


SPITFIRE
個人的にオススメ!ケント産 Spit Fire


 エールは樽の中で熟成を続けており、その熟成のピークになったものを汲み上げ無ろ過でグラスに注ぎ提供するもの。ガスも発酵過程で発生するもので炭酸ガスなど加えておらず、風味、味、がラガーとは全く違います。だからラガーにドラフトという言葉を用いるのはどうかと思います。またエールはボトルに入ったものを飲むのと、パブで飲むものは全く別モノになってしまうのです。ボトルにいれるときには保存性を高めるためにアルコール度数をあげたり、ガスを入れたりします。そうなるともう人工的なものになってしまい、本来のエールは死んでしまうのです・・・。

 

 エールはラガーとは別の飲み物と思って、その豊かな風味とモルトの甘みと、ホップの苦味のハーモニーが醸すワインで言うフルボディに近いようなのみ応えのエールを是非堪能頂きたいもの。 

 ただイギリス人に言わせるとウェザースプーンのエールは冷たすぎるのでしばらく手でグラスを覆って温度をあげて飲まなきゃならないそうです。いやぁエールって深い!


 せっかくイギリスに来たのだからReal Aleを安く、たっぷりお楽しみいただきたいものです。

 Real Aleが、このように手軽に飲めるのは世界中でイギリスだけなので、エールの聖地で是非パブ巡礼の旅をお楽しみくださいsign01

 

Text by Maggie

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