さて、まずポストの色は何色?ときかれて赤色と答える人がほぼ100%とかと思います。
ただこれ日本人の中での常識であることを意識している人は少ないのでは?
アメリカに行けばネイビーブルー、フランスでは黄色、アイルランドでは緑、など国によって色、そして形も様々。
世界で最初の近代郵便制度はイギリスで1840年に始まり、世界で最初の切手もその年に発行されています。
そして世界で最初に郵便ポストが設置されたのもイギリスで1852年に、1856年にはロンドンを10エリアに分けた郵便番号が出現しました。
日本近代郵便の父と言われ、現在も1円切手の肖像にもなっている前島密(ひそか)という人がイギリスから郵便制度を日本に持ってきて開始されたのが1871年。
前島密といいう人、郵便、切手、葉書、という言葉を定めたらしいです。ちなみに京都から遷都するときに大阪ではなく東京を推したことでも知られています。
現在のものとは違う発行当時の1円切手
ちなみに日本の郵便のマーク、〒は当初郵便を扱う省庁が逓信省(ていしんしょう)だったため、その最初のカタカタ、〝テ〟をデザイン化したものです。
郵便制度が日本に導入されたこの当時、郵便の郵という漢字が一般的でなく〝垂〟だと思った人が多かったらしく、〝垂れる便〟つまり公衆トイレだと思い、よじ登って大きいほうの用を足したという苦難の歴史があります。初期郵便ポストの色が黒だったこと、公衆トイレの普及期と重なったことが理由だったようですが、どう考えてもポストの上に上るほうが大変ではないかと思います。
そして1901年に暗くても目立つ色、ということで赤色になりました。
郵便ポスト、正式には郵便差出箱、イギリスではPost Boxが普通名詞、そして種類によってPillar Box,Wall Box,Lamp Boxというように区別されます。エスキモーにはたくさんの雪を表す単語が存在するそうです。日本にも多言語には見られないくらい雨という単語が多いです。言語にはその国の文化が多分に反映されるものです。だから世界で最初に郵便ポストが設置された英国の言葉にはいろいろな郵便ポストを表す単語が多いのでしょうか?ちなみにアメリカではLetter Box。R2-D2デザインのものなどもあります。
一般的なイギリスの郵便ポスト Pillar Box
でも実はこれ、立っているのではなく、埋まってます。
壁に埋まっているWall Box
そしてバースにはPostal Museum郵便博物館があり、様々なポストの変遷を見ることができます。
ペン立てといわれる六角形の郵便ポストのレプリカ
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そして、郵便ポストを見る上での最大の愉しみが珍しいロイヤル・サイファ(Royal Cypher)発見したときです。
ロイヤル・サイファというのはそれぞれの英国国王のシンボルのことです。
全てのイギリスの郵便ポストにはロイヤル・サイファが施されていて、その郵便ポストがいつの時代に建てられたがわかります。
1840年に郵便ポストが設置されたことを考えると、VR(ヴィクトリア女王(在位期間:1837年~1901年)の治世の物が最も古いということになります。
少なくとも108年経過していると考えると畏敬の念を抱かずにはいられません。
エドワード7世の治世(1901年~1910年)の間に作られれたPillar Box
わずか10年間の産物。このロイヤル・サイファがあるポストを発見したとき感動せずにはいられません。
ジョージ5世の在位期間中(1910年~1936年)のPillar Box。
そして現在にいたるエリザベス2世女王のロイヤル・サイファを持つWall Box。
昔から最寄の郵便局を指し示す役割を担っていた郵便ポスト、未だにその役割を担っているものが、ロンドンの中心リージェントストリートでも見受けられます。
さすがイギリスは郵便先進国で、日本で郵政公社が誕生するずっと以前に1981年から民間の考えが導入され、Royal Mailという郵政公社に相当する組織からPost Officeを分離して子会社扱いにしています。
そして文房具屋さんのRymanなどが郵便局を兼ねることでRymanも集客効果を得ることができ、郵便局も設備投資を節減できます。いや素晴らしい考え方だと思います。
全てのポストの鍵は違うもので、ポストの集配係の人は担当ポストのたくさんの鍵を持ち歩かなければならないという愉快な都市伝説も生んでいます。
イギリスのポストの愉快なところとして〝曜日プレート〟を避けては通れません。
最終集荷が終わったら次の集荷がいつかというのを示すプレートがあり、全ての郵便ポストのそれが忠実に入れ替えられているのは関心せずにはいられません。金曜日の夜に郵便ポストを見ると、ちゃんと〝MON〟に変わっています。日本に比べるとかなりいい加減なこの国においてのこの几帳面さはイギリスのプライドを感じます。
ずいぶん長くなってしまいました・・・。
このブログを読んでいただいて、少しでもイギリスの街歩きが愉しくなっていただければ幸せな世界初めて物語なのです。
Text by Maggie