パブ:Publog 2009.01.25

ハイエナシスターズが足繁く通うワンケイへ行くのに、人通りが多いヘイマーケット沿いを歩くことを好まず、裏通りを通ります。
裏通りにとあるパブがあり、そこがかなり繁盛しているところが英国の深さであり、愉しさだと思うPublogです。

そのパブの名前はTom Cribb
1809年から1822年まで14年間も英国内ボクシングチャンピオンの座を守った伝説のボクサーの名前を冠するパブです。


実は近代ボクシングのルーツはイギリスにあり、1718年にロンドンで開設されたボクシング・アカデミーで貴族などにボクシングを教え始めたことにあります。

18世紀初頭、ボクシングはベアナックル(素手)・ファイトと呼ばれ、とても人気で試合観戦のために遠方から来て会場周辺で野宿する熱心なファンなどもいました。

ところがルール無しに無制限、古代ローマのパンクラチオンのように行われていたため、死者が続出、1754年に一度法律で禁止されます。しかし貴族をはじめとする富裕層からの根強い支持で1790年に再開となります。

このころにはベルトより下への攻撃禁止、腰より下への抱え込み禁止など簡単なルールが決められ、リングは25フィートの円形で固い土とするなども決められました。

現在も四角いのにリングと呼ぶのは昔はリングは円形だったことの名残なのです。ちなみに四角に制定されたのは1865年。


ロンドンで石炭運び人夫として働いていたトム・クリブがその腕っぷしを買われてベアナックル・ファイトにデビューしたのが1805年。その後イギリスでイギリス初といわれる職業ボクサーに転身し、1810年にはトム・モリノーというアメリカの黒人ボクサーと対戦、39ラウンドにも及ぶ大熱戦を繰り広げ、見事勝利!

そして彼の人気を不動のものにし、彼が伝説になったのが1811年にシスルトン・ギャップにて行われたトム・モリノーとの再戦。

この世紀の大一番には25,000人もの大観衆が集まり、その面前でクリブはモリノーの顎を打ち砕いて勝利を収めたのです!


この時期、イギリスが世界唯一の興行ボクシングを行う国であり、180cm、100kgに近いヘビー級の二人が素手で殴りあうのは当時最高のエンターテイメントだったこは想像に難くありません。

しかし、インターネット、テレビはおろかラジオもない時代にどうやってこれだけの人が辺鄙な場所に集まり、そして誰が人数を数えたのか・・・。


そして凄絶な現役生活を終えた彼は26 Panton street、現在のパブがある場所とは違う場所にユニオン・アームズという名のパブを開いて余生を過ごします。現在のパブは後に彼の偉業を称えて1960年に改名されました。


H.I.S.ロンドン雑学講座-Tom
この人が伝説のチャンピオン Tom Cribb。

昔のボクサーの絵とか写真って皆このポーズです。かれは功績をたたえられ、ニューヨーク州にあるボクシングの殿堂入りをしています。

が、はっきり言ってあまり強そうに見えないのは私だけでしょうか???


H.I.S.ロンドン雑学講座-Cribb vs

トム・クリブ vs  トム・モリノーの1回目の対決の模様。


H.I.S.ロンドン雑学講座-Tom Cribb3

これがそのパブのパブ・サイン(看板)。まぁ上の絵とは別人ですね。

こちらは強そう。


H.I.S.ロンドン雑学講座-Tom Cribb2

パブの建物にはブループラーク(偉人、有名人が住んでいた、有名なイベントが行われたなどの場所に残される記念碑)も埋め込まれています。


H.I.S.ロンドン雑学講座-Tom Cribb1

H.I.S.ロンドン雑学講座-Tom Cribb7 H.I.S.ロンドン雑学講座-Tom Cribb5

パブの外観。壁のみならず柱にも茶色のタイルが使われていて、とても印象的。

H.I.S.ロンドン雑学講座-Tom Cribb4

トム・クリブの偉業を書き記したプレートその1。


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ム・クリブの偉業を書き記したプレートその2。


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メニューが大きく外に値段とともに書き出されています。


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外から覗いても店内の温かい雰囲気が伝わってきます。


H.I.S.ロンドン雑学講座-Tom Cribb Inside10 H.I.S.ロンドン雑学講座-Tom Cribb Inside2

店内の様子。店内が仕切られていないシンプルな1室作り。



H.I.S.ロンドン雑学講座-Tom Cribb Inside5

狭いながらも渋い茶色の木のバー・カウンター、木の床、ボタン留めクッションの背もたれのある木のベンチなど、とても温かい雰囲気です。


H.I.S.ロンドン雑学講座-Tom Cribb Inside8 H.I.S.ロンドン雑学講座-Tom Cribb Inside3

店内には様々なボクシングの写真、絵、昔の広告ポスターなどが飾られています。


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昔のグローブなどもあり。1800年当時はマフラーといっていたらしいです。

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昔のピカデリーサーカス(ここから近い)の絵。


H.I.S.ロンドン雑学講座-Tom Cribb Inside6

このお店、現在はシェファーズ・ニームという記念すべき第1回Publog で紹介したブリュワリーのタイド・ハウス(エールはそのブリュワリーのものしかおかない)です。

どこのブリュワリーのでも関係なく置くパブがフリー・ハウス。

シェファーズ・ニームがアサヒビールと業務提携しているので、スーパードライのオン・タップもあります。


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以前、Spitfireを紹介したので今回のエールは、Bishops Finger

5.2%とやや高めのアルコール。ドライフルーツなども材料に加えられるケント地方伝統的なレシピに沿って作られたフル・ボディのリアル・エール(無濾過無殺菌樽内熟成)。

ホップの苦味が強いので好みが分かれるところ。


このパブ、狭いながらもフィッシュアンドチップスなど伝統的なパブ料理やサンドイッチなどもサーブされるのでランチなどにも使い勝手がよいです。勤務中に飲みたくなるので私はランチには行きませんが(笑)。


Cozyな温かい雰囲気の中で至福の時をお過ごしくださいませ~。


Tom Cribb

36 Panton Street, London, SW1Y 4EA

Tel:020 7839 3801


Text by Maggie


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