皆さんこんにちは!
またまたご無沙汰してしまいましたタテブロです~。
今回は私に最も影響を与えた1冊のうちのひとつ、〝ロンドン歩けば・・・〟(林 丈二 著:東京書籍)で取り上げられているのを読んでいらい、長年実物を見ることを切望していた二つの橋を紹介。
かつて五街道の起点であり、現在も7つの国道の始点になっている日本橋。ちなみに江戸東京博物館に原寸の木造日本橋の北側部分が復元されています。
このある意味日本の象徴ともいえる橋のデザインのルーツがイギリスなのでは、というのがこの本の著者の主張。
ホルボーン高架橋(Holborn Viaduct)が開橋したのが1869年。明治維新の翌年ですね。
開橋当時のホルボーン高架橋
1869年の王室の行列が出来て間もないホルボーン高架橋をくぐるところ。
そして最初の木造の日本橋が架橋されたのは1603年の江戸幕府ができたのと同年ですが、
現在の二連アーチ式の石橋になったのが1911年(明治44年)。
いろいろと日本には郵便ポスト、郵便制度をはじめイギリスからモノが入ってきていたので(世界初めて物語② 郵便ポストの愉しみ方 参照)、橋の意匠が入ってきたとしてもなんの不思議もありません。
共通点その① 獅子と有翼ライオン
日本橋(左) 架橋当時の東京市の紋章を押さえています。
ホルボーン高架橋(右) 珠を押さえています
興味深いことにともに左前足で座ったままで押さえている構図が同じ。
ただ日本橋は欄干の外を向いているのに対し、ホルボーンでは内側を向いています。
共通点その② 麒麟とドラゴン
日本橋(左) 欄干の中央で2体の麒麟が背中合わせに。
ホルボーン高架橋(右) 欄干の中央ではないものの2体のドラゴンが背中合わせに。
いかがです?似すぎですよね。
でも、著者も偶然かも・・・と書いているように、インターネットでいろいろ調べたのですが、結局決定的な記事を見つけることはできませんでした。
日本橋の麒麟のアップと首都高を支える柱に書かれた架橋年。(2009年4月撮影)
そして、ホルボーン高架橋。
この橋の凄いところは、橋の袂にある3つの建物も一体となってデザインされたてられている点。
そして南北の欄干に2体ずつ彫像が施されていて、建物、橋、彫像が渾然一体となった美という稀有な橋であり、そして建築物。
ホルボーン高架橋 南側欄干1
ホルボーン高架橋 南側欄干2
農業(Agriculture)
商業(Commerce)
ホルボーン高架橋 北側欄干
商業美術(Fine Art)
科学(Science)
彫像が周囲の景色に溶けてちょっとした野外美術館のような錯覚に陥ります。
袂の建物の典雅な装飾と橋と同じデザインとカラーリング。
その建物の中を入っていくと、
階段の下には、欄干と同じドラゴンが鎮座しています。
しかも4体!
橋の下も、手抜きすることなく見事な装飾と、美しいアーチと逞しい橋脚。
橋と袂の建物を下のFarrington Streetから。
140年前とほとんど変わらないままの構図で写真が取れるというのが凄いですし、ほぼ正確に描いた技術にも感心せずにはいられません。
もし著者の推測が事実であれば、一体全体、何処の誰が何を想い、英国はロンドンにある稀有な高架橋の意匠を、日本で最も有名な橋の意匠に採用するに至ったのか。そこにはきっととても素敵な物語があるのではないでしょうか。興味はつきません。
Text by Maggie