Guy Fawkes Night(ガイ・フォークス・ナイト)を祝う11月初旬、イギリス南部の小さな街ルイスでは松明を持ち中世のような服装で街を練り歩く他の地域と違うガイ・フォークス・ナイト、通称Lewes Bonfire Night(ルイス・ボンファイア・ナイト)を見ることが出来ます。
日が暮れた17時頃、いよいよ街の大通りハイストリートを練り歩くパレードが始まります。ガヤガヤしていたハイストリートもどこからともなくぞろぞろと十字架をもったグループが歩いてきたことで静かになりました。
黒い修道士のような恰好でかなり異様な空気です。
ユナイテッドキングダムを構成するイングランド・スコットランド・北アイルランド・ウェールズの国旗をもった子どもたちと音楽隊。
爆竹の轟音に備えて遮音性イヤーマフや耳栓をつけている子供も多かったです。
私達も始まる前に地元の人に「耳栓買っとけよ!」と言われたので、音に弱い人は対策した方が良いと思います。
ちなみに我々はお酒に夢中で買うのを忘れ爆竹でヒーヒー言うはめに!
▲1917年-2017年 Lest we forget
ポピー(ひなげし)の花を模した花火に点火されルイス・ボンファイア・ナイトの幕開けです。
この数字と花は、イギリスではRemembrance Day(リメンバランス・デー/戦没者記念日/11月11日)の象徴、戦争で犠牲になった人々と今ある平和を忘れないという意味があります。
▲黙祷とともにしんみりしましたが、先陣が火をつけ爆竹が鳴り出し一気に賑やかなムードに
この時期になると服やカバンにポピーの花をつけている人がいるのはリメンバランス・デーのためです。
ポピーの花は主に第一次世界大戦の犠牲者への追悼を意味していましたが、今では歴史上起きたすべての戦争の犠牲者と平和の象徴になりつつあります。
音楽隊の音楽とともに松明をもった各7つのソサエティが続きます。
昼間街中で飲んでいた人々で、ボーダーの服を着ている人たちは参加者だったのです。
▲SOUTHOVER BONFIRE SOCIETY
各ソサエティはそれぞれテーマ性をもった服を着ています。
イギリスの古い町並みと、非現実的な衣装が炎で照らされとても幻想的!映画の世界のようです。
子供も大人もパレードに参加!子供の参加者は松明が重いのがフラフラしている子もいて、見ているこっちがハラハラしましたが、ボーダーをきた大人がしっかりサポートしていました。
ルイス・ボンファイア・ナイトの写真を初めて見た時に既視感があったのですが、2006年にリリースされ世界的大ヒットとなったアメリカのロックバンドMy Chemical Romanceの「Welcome To The Black Parade」の世界観にちょっと似ている気が!
昼間は特に何も感じなかったのですが、このボーダー服は暗闇に松明の光のみだととても不気味で怪しい集団に見えます!
でもその不安感がこのイベントを余計にミステリアスにしているのかなあと思いました。
一つのソサエティが去ると束の間静かな街に戻ります、ギャップがすごい。
▲SQUARE BONFIRE SOCIETY
このように7つの団体がウォーメモリアルモニュメントを前に黙祷を捧げ、松明をもって行進するのを繰り返すのですが、段々過激にというか派手になっていく印象でした。
アメリカの先住民族の衣装ですが、こちらも一歩間違えたら火がついて大変なことになるのでハラハラ。
衣装は凝っていますが、道の至る所に投げ捨てられた火がついた松明が転がっているので長いドレス系の衣装も見ててドキドキしました。
落ちた&投げ捨てられた松明は定期的にこのようなカートで回収されます。
人々のざわめきと炎のゆらぐ音、カートが石畳を叩く音、火薬の匂いが調和してなんとも言えない雰囲気がありました。
ネットの写真でみて「ルイスのガイ・フォークス・ナイト行きたい!」と今年来たのですが、写真とはまた全く違った現地ならでは空気が良かったです!
ウォーメモリアルより下の一本道をみると、道が狭くなる&手持ちの照明弾が焚かれ至る所から爆竹がけたたましく鳴り響き一件暴動のような光景が広がっていました。
ところで華々しいパレードにも目がいくのですが、不思議なもので段々火そのものをみるのが楽しくなってきます。
火のゆらぎは人の心を落ち着かせリラックスさせる効果があるそうです。
「薪がただただ燃えている映像が高視聴率を叩き出した」という話がありますが、これは人が火のゆらぎによるリラックス効果の結果だと言われています。
ちなみに波をずっとみてても楽しいのも同じ理由だそうですよ!自然って偉大!
カトリック教徒の暗殺計画を阻止したことを花火を打ち上げ国王の無事を祝うガイ・フォークス、起源としてはとても政治色のつよいイベントです。
今でももちろんガイ・フォークス人形を街中で引きずり回し最後は火をつけ燃やすのですが…
さすが皮肉とブラックジョークが大好物のイギリス人、今ではその年で国内外問わず最も嫌われた&意味不明なことをした政治家や著名人の人形も作って燃やします。
2016年はドナルド・トランプ大統領が2体燃やされました。
存命の政治家や独裁者なども皮肉たっぷりの人形にして燃やすのですが、これ一歩間違えたら大問題になりますよね。
特に国外のなんて国際問題になりそうな気もしますが、イギリス人にとって「政治に対して怒る」というのは当然の権利なのです。政治の話をタブー視する日本人からしたらビックリですが、こういう国民性だからこそ七つの海を支配できたんだろうなあと思います。良いか悪いかは置いておいて…。
燃やされる人形たちが登場するのはパレードの後半です!
【1】Guy Fawkes Nightの起源!16世紀のテロリスト、ガイ・フォークス - ルイス
【2】Lewes Bonfire Night直前!ルイスの街で飲んだり食べたり!
【3】炎の奇祭 Lewes Bonfire Night① - リメンバランス・デーとポピーの花
【4】炎の奇祭 Lewes Bonfire Night② - イギリス人と歴史
【5】炎の奇祭 Lewes Bonfire Night③ - 木製政治家人形を燃やそう!
【6】炎の奇祭 Lewes Bonfire Night - 締めは花火!
【7】Lewes Bonfire Night まとめガイド
ミオ
【年末年始・営業時間】
2017年12月30日(土)休業日
2017年12月31日(日)休業日
2018年01月01日(月)休業日 元旦 New Year's Day
2018年01月02日(火)通常営業 (9:30 - 18:00)