Guy Fawkes Night(ガイ・フォークス・ナイト)を祝う11月初旬、イギリス南部の小さな街ルイスでは松明を持ち中世のような服装で街を練り歩く他の地域と違うガイ・フォークス・ナイト、通称Lewes Bonfire Night(ルイス・ボンファイアー・ナイト)を見ることが出来ます。
▲街の多くのお店はこの日お昼過ぎには店じまい
そもそも「ガイ・フォークス」は誰かというと、ヨーク出身のイギリス人。
17世紀に彼はウェストミンスター内議事堂爆破を計画し当時の国王ジェームズ1世を暗殺しようとした火薬陰謀事件の主犯格の1人として逮捕され処刑されました。▲過激で有名なルイス・ボンファイア・ナイトに備えてショーウィンドウには板が!
いわばガイ・フォークスは当時のテロリスト。
なぜ彼が国王暗殺を企てたかというと、彼がカトリックだからです。
当時のイギリスはプロテスタントゴリ推し、カトリックは異端者として迫害の対象でした。迫害に怒りガイ・フォークスと仲間のカトリック教徒たちは火薬を使って議事堂爆破を企てますが、1605年11月5日に計画がバレてしまいロンドン塔に全員送られます。
ガイ・フォークスは主犯格ではなかったのですが、火薬の見張り番だったからか、名前のゴロがいいからなのか、彼の名前をとってガイ・フォークス・ナイトとなりました。
下っ端が責任とらされるのは21世紀も17世紀も一緒!世知辛い~!
なのでガイ・フォークスの名を冠していますが、このイベントはガイ・フォークスを讃えるものではなく国王が無事だった事を祝う御祝いです。
昔はガイ・フォークス人形が街中を引きずり回し火の中に投げ込むのが習わしでしたが、今では花火を上げたり火を焚いたりが一般的でちょっとだけマイルドになりました。そして英単語のなかにもガイ・フォークスは残っています。
「Nice guy」「Hi, guys!」などの「Guy」はガイ・フォークスから生まれた単語で、19世紀のイギリスでは変な服装の人を指す言葉でしたが、アメリカで男性や複数人をさす言葉へ発展しました。現代では匿名ハッカー集団アノニマスがガイ・フォークスの仮面をトレードマークにしていますが、これはガイ・フォークスが理不尽なカトリック迫害へ抵抗しようとした行動力へのリスペクトからだそうです。テロリストだったガイ・フォークス、今でももし彼らの計画が遂行されていたら歴史はどう変わっていたか?ガイ・フォークスは本当に悪だったのか?と議論の的。
今では一種のロマンというか都市伝説的魅力をもった人物としてイギリス文化に息づいています。
今も昔も宗教は火種となって戦争やテロに発展すると思うとなんとも言えない気持ちになりますが、そんなテロもイベント化してしまうのがイギリスっぽいですね~。
▲地元の子供のかわいい手作りカップケーキ、一つ50ペンス。
ルイスは普段は静かでのどかな街ですが、この日は街を上げてボンファイア・ナイトを祝います!
【1】Guy Fawkes Nightの起源!16世紀のテロリスト、ガイ・フォークス - ルイス
【2】Lewes Bonfire Night直前!ルイスの街で飲んだり食べたり!
【3】炎の奇祭 Lewes Bonfire Night① - リメンバランス・デーとポピーの花
【4】炎の奇祭 Lewes Bonfire Night② - イギリス人と歴史
【5】炎の奇祭 Lewes Bonfire Night③ - 木製政治家人形を燃やそう!
【6】炎の奇祭 Lewes Bonfire Night - 締めは花火!
【7】Lewes Bonfire Night まとめガイド
ミオ